軍用地を生活と生産の場に!
 
沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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『一坪反戦通信』 毎月1回 28日発行 一部200円 定期購読料 年2,000円

第112号(2000年5月28日発行)

【新刊】

 『米軍基地を押しつけられて』

        伊波洋一 著
 
 タイトルから判るように、沖縄で闘っている人の提起である。

 著者は労働組合の役員として、そして現在は県会議員としてどちらかといえば、トップにたって華々しい動きを見せるタイプではなく、常に下から全体を支える役割を果たしてきた伊波洋一さん。彼が、脱軍備ネットワーク・キャッチピースのニュースレター『キャッチピース』に連載されたものを再構成し、まとめた一冊。

 出版は、これまで核・原発、朝鮮や中国からの強制連行等の問題を積極的に採り上げてきた創史社。代表の小原さんと伊波さんの熱意から生まれた告発である。

 毎月の沖縄レポートのうち一九九五年から二○○○年までの問題に絞り、また、解説や詳細な年表をつけ、これまで沖縄の問題に関わってこなかった人でも理解できるように編集されている。

 沖縄にとって、あらゆる矛盾が吹き出した激動の数年である。基地あるが故に発生した痛ましい事件、軍用地強制使用と大田県知事の代理署名拒否、県民投票・名護市民投票、日常的な米軍人による事故・事件、生活を脅かす軍事演習、新たな段階に突入した日米防衛協力と沖縄基地の役割、住民要求を逆手にとった普天間基地の「移設」と名護市民の意思を踏みにじるヘリ基地の新設、そして県知事の交代とサミット開催。

 日米両政府は、沖縄基地を存続・継続使用するために、なりふり構わぬ攻撃を仕掛けてきた。それに抗い闘う沖縄の人々。随所にその生の闘いがリアルにレポートされている。いま読み直しても当時の状況が手に取るように理解できる。声を荒げることなく、無駄な修飾語を使わず、現実を淡々と報告しながらも怒りが伝わってくる文章である。

 今後、厳しくなる状況の中であらためて沖縄の問題を訴える一つの書籍として、周りの人、特に沖縄の問題を知らない人に勧めたい。

 また、伊波さんにも続編を期待したい。現在の沖縄の状況を生み出したもの、過去の運動の中に私たちの反省すべきもの、そのことを見いだし、提起する必要があろう。その作業によって、『米軍基地を押しつけられて』という告発もさらに大きな意味を持つものと思われる。

   (仲田博康 原発井戸端会議・神奈川)

創史社
2000年5月15日
1600円+税
ISBN4-915970-13-2

伊波洋一氏は沖縄県議会議員。3月30日の一坪反戦地主排除の陳情裁決において反対討論を行った(第111号に全文を掲載)。共著に『これが米軍への「思いやり予算」だ!』(社会評論社、1997年)がある。