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第110号(2000年3月28日発行)

「思いやり予算」違憲訴訟 速報
 
 三月二一日、東京訴訟の第一○回口頭弁論が行われた。傍聴席は久しぶりにほぼ満席。

 三ヶ月をかけて作成したはずの被告・国側準備書面は、原告準備書面のうち「認める主な部分」を単に羅列したものであった。代理人を一九人も並べながら、何という怠慢か。原告が主張する平和的生存権や租税負担者としての権利そのものが存在しないという立場から、被告はこれ以上の反論はしないと言明。裁判において国民とやりとりする気はないという国の姿勢を露わにした。「事実関係を争いのない形に」として被告に反論を求めていた吉戒(よしかい)修一裁判長は、「無理矢理口を開かせるわけにもいかない」と被告に迎合。

 原告が申請している証人については、原告側の陳述書提出を待って採否の決定となる。


 裁判に先立って、特別協定廃止などを求める要請を外務省に対して行った。一五の団体が賛同し、参加者は一七名。古堅実吉衆議院議員に紹介の労をお願いした。外務省北米局・日米安全保障条約課の池上正喜課長補佐が対応し、質疑応答は一時間半ほど。

 池上氏は「思いやり予算」削減を日本政府が米国に求めているとの新聞報道をはっきりと否定。今後の交渉で、負担は減るかもしれないし、増えるかもしれぬ、と典型的な官僚答弁である。外務省としてのスタンスは未定だという。「在日米軍駐留経費の日本側負担の適正規模は」との問いに、日本の安全保障の問題であるから、経済的状況だけでなく周辺国の動向などさまざまな要素を勘案する必要があるとの答え。これでは、安全保障の名の下に青天井の負担がつづくであろう。このような外務省を持つ不幸を再認識した。
 

 一方、関西訴訟の控訴審・第三回口頭弁論は、三月七日に行われ、加島宏弁護士が在日米軍各基地の実態について陳述。原告が要求していた証人については、北野弘久氏(日大・税財政法学)と前田哲男氏(国際大・軍事)に決定した。

次回日程
・関東第一一回 東京地裁 第六一一号法廷
   五月一九日 午後一時一○分〜 
・関西第四回  大阪高裁 七二号法廷
   五月二三日 午後一時半〜四時四○分
              (M)