沖縄をめぐる情勢 名護市民の活動
米国政府が十五年使用期限を拒否
二月一六日付『共同』の記事は、本年一月の日米防衛首脳会談で、コーエン国防長官が、普天間基地の代替施設の使用期限を十五年とする問題について、明確に拒否していたと伝えた。日本政府や沖縄県は、この報道を必死に打ち消したが、二月二〇日の日米外相会談でも、オルブライト国務長官が、事実上のNOを表明した。
二月定例県議会で、稲嶺沖縄県知事は「期限の設定を引き続き強く求める」と繰り返したが、「米国政府との話し合いの中で取り上げる」という政府の閣議決定は「沖縄県の意向を伝える」という意味にすぎない。
県議会で稲嶺知事は、新たな基地は「軍民共用空港で民が主体」としてきた従来の主張を大きく後退させ「現段階で確定的なことは言えない」と答弁した。新基地建設について知事がつけた〈条件〉は、早くもボロボロである。
しかし稲嶺知事や岸本名護市長の公約が、日本政府の喉にささったトゲであるという事情に変わりはない。十五年の使用期限が米国政府によって確約されないなら、県と名護市はすべてを白紙に戻さなければならないはずである。
三月一五日、岸本市長は、市議会で十五年使用期限など七項目の受け入れ条件について「確実に実施される明白な方策が示されなければ、容認を撤回する考えに変わりはない」と改めて明言し、「ジュゴンの調査を国の予算でやってもらうよう要望する」とのべた。
強化される米軍基地の軍事機能
三月三日、嘉手納基地からF15戦闘機一二機が、イラク南部上空のいわゆる「飛行禁止空域」を監視する「サザン・ウオッチ作戦」に参加するため、サウジアラビアに向けて飛び立った。
『沖縄タイムス』によれば、嘉手納基地の部隊はこれまでも同空域の監視に派遣されてきたが、「これまでと大きく異なるのは、米空軍が昨年一〇月に創設した『航空遠征軍』として初の定期の作戦行動である点である」という。「米空軍の兵力再構築の中で、嘉手納基地の部隊が、公然と定期的に、紛争地域の警戒体制に組み込まれたことは、安保条約の枠を超えた在日米軍基地の『グローバル化』の既成事実化を一層促すものといえる」と同紙は指摘している。
名護市辺野古沿岸域に計画されている海兵隊の新基地には、台湾海峡にも朝鮮半島にも急行できる最新鋭機「MVー22オスプレイ」が配備される。基地建設を許せば、オキナワの最前線出撃基地化が飛躍的に進むことになる。
ねばり強くつづく人びとの抵抗
二月一五日、米軍機が石垣空港に突如、強引に着陸し、石垣島の人びとを憤激させた。米軍は三月初め、再び着陸を計画したが、石垣市長の抗議や市議会の反対決議、市民の阻止のかまえが、米軍の暴挙を中止させた。しかし三月一五日河野外相は、国会で石垣空港への米軍機飛来は「地位協定上、問題はない」と答弁した。
名護市民の動きのうち「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」による市長への大量の署名提出と「心に届け女たちの声ネットワーク」などが呼びかけた「平和の樹」運動については、現地からの報告を読んでほしい。
ヘリ基地反対協議会は、二月末までに九百人以上もの署名集めの受任者を確保したが、市長リコール運動は、三月一六日現在、まだはじまっていない。
同協議会は二月二九日、吉野川可動堰(ぜき)建設計画に反対する住民投票を成功させた運動の中心である村上稔徳島市議を講師に迎え「第一回連続市民講座」を開催、百人以上が参加した。
三月一〇日には「十五年使用期限問題」について態度を明らかにするよう求める要請を県に対して行なうことを決めた。また同月一五日の「第二回連続市民講座」では、大分県の湯布院から中谷健太郎・観光協会会長を招き、基地に依存しない地域おこしの話を聞いた(二三〇人が参加)。
(I・編集部)
名護支援カンパ
関東ブロックが呼びかけた年末緊急カンパは総額一六六万七千円に達しました。すでに、「命を守る会」と「十区の会」に七四万円ずつ送金済みでしたが、残り一八万七千円をヘリ基地反対協に送金しました(三月一六日)。「命を守る会」では、ワゴン車(表紙の写真)の購入資金に充当。引き続き名護へのカンパを宜しくお願いいたします。
カンパ送金先
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ヘリ基地反対協議会
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