【新連載】
認定・裁決取消訴訟 (1)
現在、反戦地主による「認定・裁決取消訴訟」と「特措法違憲訴訟」が行われている。関東ブロックの二○○○年度活動方針の一つとしてこれらの裁判に対する支援があげられた。今号から数回にわたって、これら訴訟の準備書面を掲載する。資料提供は違憲共闘会議。
「認定・裁決取消訴訟」は、内閣総理大臣による使用認定・沖縄県収用委員会による使用裁決の取り消しを求める訴訟である。「特措法違憲訴訟」は、知花裁判で明け渡しを求めていた土地が使用裁決されたことに対する損害賠償請求に加えて、使用裁決申請却下となったにもかかわらず暫定使用されている嘉手納基地内の土地等について、特措法改悪による暫定使用の違憲を主張しての損害賠償請求を併合した訴訟である。
「認定・裁決取消訴訟」の準備書面(一九九九年九月一三日付)は、沖縄の米軍基地問題を、接収の経過(第一章)・基地の実態(第二章)・安保の違憲性(第三章)・特措法の違憲性(第四章)、に分けて詳述している。在沖米軍基地問題について理解を深めるための貴重な資料である。全文は八万字を越える。今号は第一章の第一・二の部分を紹介する。目次は原文の章立てをもとに編集部で付け加えた。なお、関東ブロックのホームページ(左記)には本訴訟に関する資料を掲載しているので、ぜひご覧いただきたい。
関東ブロック・ホームページ http://www.jca.apc.org/HHK/
目次
第一章 米軍による土地接収の経過とその違法性
第一 はじめに
第二 占領から講和条約発効までの土地接収について
一 講和前の接収の経過
二 講和前の土地接収の法的根拠の不存在と国際法違反
第三 講和発効後の土地取り上げ
一 基地確保のための一連の法令
二 土地取り上げの実態
三 講和後の土地接収の法的根拠
四 講和後の土地接収の違法性
第四 復帰後の土地接収と違法性
一 沖縄の日本復帰と軍用地問題
二 「公用地法」による土地の違法使用の「追認」
三 「公用地法」の違憲性
四 「地籍明確化法」の背景と立法経過
五 「地籍明確化法」による土地使用についての政府の見解
六 「地籍明確化法」による土地使用の違憲性
第二章 米軍基地の実態
第一 米軍基地の性格と役割
一 はじめに
二 復帰後の沖縄基地の基本的性格
三 アメリカの世界戦略
四 NATOの「新戦略概念」について
五 アメリカの世界戦略と日本の関係
第二 米軍基地の実態とそれによって生じる被害について
一 米軍基地の概況
二 米軍の演習・訓練及び事件・事故の状況
三 環境破壊
四 米軍基地に起因する女性に対する人権侵害
五 基地に侵害される子どもの権利
六 振興開発の阻害
第三章 安保条約の違憲性・国際法違反性
第一 はじめに
第二 安保条約の拡大強化とその違憲性
一 沖縄の本土復帰と安保条約の質的変化
二 グローバルな在日米軍の役割と安保条約の違憲性
三 新ガイドラインの立法化と安保条約の違憲性
四 核兵器を許容する安保条約の違憲性
第三 日米安全保障条約は国際法に違反する
一 国連憲章は日米安保条約に優先する
二 武力行使、武力による威嚇の絶対的禁止原則
三 憲章2条4項の例外
四 安保条約5条6条は国連憲章に反する
第四 砂川大法廷判決と安保条約の合憲の要件
一 問題の所在
二 現行安保体制は日本の安全を維持することを目的としていない
三 日本の安全保障のための方式又は手段としての異常性
四 現行安保体制は、国際情勢の実情に即応していない
五 砂川大法廷判決の「小谷勝重・意見」、「河村大助・補足意見」に
ついて
第四章 米軍用地収用特措法の違憲性
第一 問題の所在
第二 使用認定申請書等の不開示
第三 収用委員会の判断を経ない「暫定使用権」の付与
一 土地収用法の基本構造
二 米軍用地収用特措法における「提供の必要性」、「提供の適正且つ
合理性」要件の位置
三 収用委員会の判断を経ない暫定使用権の発生
四 改正法の違憲性
五 本件裁決の無効性
|