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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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第103号(1999年5月29日発行)

特措法再開悪の狙い

戦争準備に踏み込みはじめた政府・防衛施設庁

土地を戦争に提供させない闘いの強化を

 本『一坪反戦通信』の前号でも報告したとおり、去る四月一日と九日の二度の関東ブロックによる抗議・要請行勤時に防衛施設庁は、戦懐すべき「公式見解」を表明した。

 特措法の再改悪は新ガイドラインとリンクしていないと言いながら、「強制使用にかかわる従来の機関委任事務は廃止し、国の直接執行事務へ法改正する」、「自衛隊は軍隊ではないから、土地収用法による自衛隊基地のために新規の土地強制収用ができるはずだ」、「だから現行の土地収用法でも自衛隊・米軍の基地収用は可能であるという解釈が成り立つ」、「新規に強制収用する士地は新設の緊急裁決・首相代行裁決ができる」と。
 なんと! 主権在民とは名ばかり、国・政府が軍事基地提供を国民に強制することになる! 

 この時、施設庁側の回答者は米軍の基地について住民との関係で「軍事施設は迷惑施設」だと発言している。こう発言しておきながら、強制使用手続きを簡略化させる法案の趣旨を説明するとはどういう神経をしているのであろうか?

 国会で沖縄の島袋議員の質問に対して「沖縄の地理的位置からしても新ガイドラインに最も巻き込まれる」と発言した防衛庁長官と同じ神経だ。この長官は沖縄現地での猛反発に合い、翌日には発言を修正した。しかし撤回はしていない。

 首長から代理署名や公告・縦覧などの機関委任事務をはずすことについても、その理由を知事や市町村長が「国と住民との間で苦悩するのをさけるため」だという。知事や市町村長のことを考えてそこまで言うのなら、強制使用で地主に重圧をかけるのも、首長にむりやり強制使用手続きさせて職務命令執行訴訟まで起こすのもやめるべきであろう。

 強制使用をやめれば地主からも首長からも歓迎される。にらみをはずされるアジアからも大歓迎だ。米軍にだけ義理だてして「条約上の義務」履行だけを考えているからだ。しかもその「条約上の義務」も、今後ずっと「安定的に提供義務」があるなどと平気で述べている。しかしJ・ナイのアジア十万人体制論だって、それによって沖縄撤退はひっこんだもののそれまでも米国内部で曲折が実際にあったはずだ。事実、日本側から「海兵隊撤退」論をいったんは持ち出して、またすぐにひっこめた経過があると報道されているではないか! 施設庁自身も九五年、楚辺通信所の期限切れ当時、同通信所返還を持ち出したことがあると認めているのである。なぜ期限もなく、いつまでも占領下でもないのに沖縄が基地提供を続けなくてはならないというのであろう!

 政府は今回の期限切れの二の舞を繰り返さないため、特措法を再改悪して首長の機関委任事務の責務をはずした。

 そしてさらに新ガイドライン下の戦争協力体制確立のために、新規の土地収用を可能にする緊急裁決・代行裁決条項を盛り込んだ特措法再改悪を画策したのだ。戦争協力・戦争準備へ一歩を進めたといってよいであろう。

 新ガイドライン法は戦前の国家総動員法に条文上も似ている、という人もいる。プレ戦時体制に入りつつある、ということでもある。
 反戦地主を孤立させないための私たち一坪反戦地主の強制使用阻止・共有化運動も決定的な局面にきた。土地

提供をしないで戦争に協力しなければ、政府・国は軍事基地なしで戦争に望むほかないだろう。軍隊は住民を守らない。だから住民に軍隊はいらない!