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第102号(1999年5月1日発行)


特措法「再改悪」で防衛施設庁と会見

◆◆◆恐るべき「再改悪」案の内容が明らかに◆◆◆

 関東ブロックでは、今国会に提出された米軍用地特措法「再改悪」案について、二度にわたって防衛施設庁との会見を持った。

 第一回目は四月一日。当方十六名、施設庁は総務部の柴田・簑浦・藤井氏と施設部の木村氏等が参加。冒頭、柴田氏から今回の「再改悪案」についての説明があった。役人の常としてまことに要を得ない説明であったが、「この法案は、国と地方の役割分担の明確化を一つの柱とする地方分権推進委員会の勧告に沿うもので、条約上の義務履行のために、これまで機関委任事務として県や市町村が行ってきた手続きを国が責任を持って行うことを目的としている。補償に関しては財産権の保護のために法定受託事務として収用委員会に審理を預けた」と言うものであった。

 そこで、「暫定使用を認めた現行法では何が問題なのか?」と再三問うも、地方分権推進委員会の勧告に沿ったと繰り返すのみで納得のいく回答は得られなかった。新規使用・収用に緊急採決を新設したことについては、「法体系に穴があればこのチャンスに整備する」(簑浦氏)との本音まで飛び出す始末。「地主の権利はどこで保証されるのか?」との問いには、「手厚く慎重な手続きを進める」と言うのみで、具体的な回答は遂に得られず次回に持ち越しとなった。


自衛隊も土地収用法で強制使用できる?

 第二回目は九日。反戦地主の池原秀明さんを含め当方十三各、施設庁側は前回の柴田・藤井両氏と施設部から新たに安村・江原氏が出席。防衛庁・庁舎管理の萩原・中村・大山と名乗る三氏も同席したが、その理由は不明である。

 前回持ち越しの「手厚く慎重」の意味については、首長から代理署名や公告縦覧などの責務の重圧をはずすことが「手厚く」の意味であり、公共用地特措法の手続きを取り込むことが「慎重」の意味だというまことに奇妙な説明があった。そこで、旧土地収用法改正(注1)において軍用地等が収用の目的として除外されたのに、米軍用地取得においてその土地収用法を準用することがなぜ「慎重」になるのか、自衛隊の基地には土地収用法は適用できないではないか、との問いがでた。これに対する柴田・江原両氏の答えは、政府は土地収用法第三条三十一(注2)によって自衛隊のための土地の強制使用・収用が可能であるとの公式見解を持っている、と言う驚くべきものであった。さらに、今回の「再改悪」は新規の緊急採決を目的とし、新ガイドラインを実行できるようにするためものかとの問いには、「勧告に沿って」のお題目を繰り返すだけであった。しかし、再三の問いに、新ガイドラインの後方支援あるいは浦添への軍港移設や普天間基地の代替地取得についてもこの法律の範囲内であるとの見解を示した。

 時間の制約はあったものの、この法案の恐ろしさが再確認された会見であった。
(M)  


 (注1)
 土地収用法全面改正
 旧土地収用法は、1951年に全面快晴され、現在の土地収用法となった、その提案理由が衆参両院の建設委員会で説明されたが、そこでは「今の土地収用法を見てみますと、国防軍事に関する事業、皇室の墓の建設、神社の営建.、この三つは明らかに憲法に違反する事業ですので、廃止又は削除いたします」と述べられている。(参考「日本国憲法平和的生存権への道』(星野安三郎・古関彰一、高文研))
 (注2)
土地収用法第三条(土地を収用し又は使用することができみ事業)
土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、次の各号の一に該当するものに関する事業でなけれぱならない。
三十一 国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に仕する施設