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沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック
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第100号(1999年1月25日発行)

映画「教えられなかった戦争」を観て

思想の力・阿波根昌鴻に学ぶ

平尾晋(投稿)

 この沖縄編は、前作マレー半島編(天皇制軍隊による残虐行為の記録)やフィリピン編(軍事侵略に続いて「開発」に名を借りた非道の告発)とは視点を変え、"阿波根昌鴻・伊江島の闘い"が核心部分です。

 それは犯罪を立証し、加害を告発するだけでなく、それとたたかう主体に焦点を当て、その生き方の後姿(せなか)を通して観る者自らに、"どう生きるか"を問いかけているのです。

 しかもそのことを、ドラマ仕立てで感性に訴えるのではなく、沖縄社会の被抑圧の歴史から説き起こし、阿波根さんの非暴力平和主義の思想の生い立ち、その主体・人格を紹介しつつ、他方一九四五年四月一六日伊江島に八○台の戦車を擁した米軍上陸から、激しい戦闘(住民だけで一、五〇〇人の犠牲)、戦後の軍用地(伊江島の土地の六〇%以上)収奪の実情(日当をやるからとつかせたハンコが実は立ち退き承諾書であったり、完全武装の米兵が家人を追い出し、その家屋をブルドーザーで圧しつぶす等々)の中で、阿波根さんや伊江島の人々がどう闘ったか、の記録を通して、その問いかけは観る者に迫ってくるのです。

 その闘い方の基本が「陳情規定」にまとめられています。離れ小島の狭い地域の中で、支援団体も、新聞記者も見る人も聞く人もいない条件で、しかも己の人間性の尊厳を守り、究極の平和を闘いとることを目指す、独自の、自立した闘いで、一九七〇年までに米軍に取られた軍用地の五八%を解放したのです。まさに学ぷべき後姿だと考えます。

 もちろん沖縄を包む安保の壁がどれほど厚いか、九六年沖縄の異議申し立て権を全否定し、大田知事を機能マヒに追い込んだ「特措法」改悪が、自民・新進・民主・太陽・さきがけの圧倒的多数で強行されたこと、いや今日(一月一五日)自自連立政権発足の首相の第一声が「新ガイドライン(「これは日米安保の変質で条約改正もの」後藤田正晴氏に聞く『世界』二月号)関連法案の早期成立」であること等多言を要しません。

 もちろん「自自連立」は権力延命の破廉恥極まる醜行です。しかし昨夏参院選に示された民意があって、今のところ拮抗しています。その均衡を破る道をこの映画は示唆しているのです。
 

 ーこの映画の上映には関東ブロックも協賛しています。各地で上映中ー