防衛庁長官   大野功統 様
防衛施設庁長官 北原巌男 様

申し入れ書


 昨日9月4日、防衛庁前には首都圏から700人が結集し、沖縄名護市海上基地建設阻止行動を続けてこられた方々と共に手をつなぎあい、辺野古への基地建設、沖縄の更なる軍事化と民衆への躁躍に対して、力強く「NO!」の声をあげました。

 沖縄への海上基地建設には県民の82%が反対しています。沖縄の平和への願いをねじ伏せるような基地建設は、政府として恥ずべき行為です。今こそ白紙撤回を宣言してください。

 9月4日は、私たちにとって、決して忘れることの出来ない日です。3人の米兵が小学生の女児をレイプした忌まわしい事件から、10年が経ちますが、被害者とその家族にとって、この10年がどれほど苦渋に満ちたものだったか、想像することさえできません。苦しみの中で勇気を振り絞って告発した少女に対して、日本政府は、どのような勇気をもって、米軍の暴力根絶のための交渉と対応を行ったでしょうか。基地暴力を無くすために、何をしてきたのでしょうか。

 嘉手納空軍所属の米兵が10才女児に強制わいせつ行為を行ったと報道されたのは、この7月3日のことでした。軍隊は兵士の人間性を奪い、軍事基地周辺の人間を蹂躙しつづけているではありませんか。新基地の建設はいのちを育む人間を否定する行為です。これ以上、米軍や自衛隊によって人々が苦しめられることを私たちは認めることができません。

 「軍隊は民衆を守らない、軍隊は民衆を苦しめる」という事実を、私たちは、沖縄の痛みの経験から教わりました。

 しかし、日本政府は、沖縄に米軍基地を押し付け、自衛隊のイラク派遣を強行し続けています。世界覇権をめざすアメリカの世界規模での軍事「再編」計画の中で、自衛隊を米軍の一翼と位置付け、普天間基地返還と引き換えに、沖縄の軍事強化を図ろうとしています。これは、「二度と戦争をしてはいけない、殺してはならない、殺させてはならない」と、命をかけて座り込みを続けている沖縄の人々を踏みにじるものです。

 米軍のイラク侵攻以来、イラクでの米軍による民衆の命と生活の破壊行為を知るたびに、私たちは心が引き裂かれる思いをしてきました。イラクの人々の苦しみは、自衛隊の派遣を許してしまっている私たち自身の罪責でもあります。沖縄に米軍基地を置くことは、イラクの民衆への暴力を容認することにつながります。

 私たちは、沖縄への基地の押しつけ、イラクでの米軍の命の破壊行為を、容認しません。

 9月2日、名護市辺野古のボーリング調査のための単管足場が撤去されました。台風対策のためと那覇防衛施設庁は言っていますが、鉄パイプが腐りかけて今にも崩れ落ちそうな状態であったことを思えば、やぐらの撤去は、この1年、杭一本打たせずに続けられてきた命がけの阻止行動の成果です。「海に飛び込んででも阻止する」・・そう語ってきた辺野古の‘おばあ'、‘おじい'たちの思いの結実です。

 今や、辺野古に基地を造らせてはならないという声は、全国で、そして韓国で大きく盛り上がっています。

 白紙撤回にしか道はありません。

 平和をつくり出せるのは、米軍でも自衛隊では決してなく、私たち民衆一人ひとりでしかないことを、私たちは、「人間の鎖」に集ったお互いの手のぬくもりを通してあらためて心に刻みました。

 私たちは、沖縄の辺野古で505日目の座り込みを行っている人々に心を合わせ、以下を要請します。

1.名護市辺野古沖ボーリング調査と新基地建設を断念すること
2.辺野古「移設」案の白紙撤回を、政府として宣言すること
3.普天間基地を即時閉鎖し、無条件で返還すること
4.金武村での都市型戦闘訓練、実弾演習を即時停止すること

以上

2005年9月5日

日本キリスト教協議会平和・核問題委員会