2005年8月15日
総理大臣 小泉純一郎様 および政治家の皆さま
防衛庁長官 大野功統様 および防衛庁の皆さま
防衛施設庁長官 北原巌男様 および防衛施設庁の皆さま
沖縄「戦後」ゼロ年
今日8月15日は、いわゆる戦後六十年の節目の日です。開国とともに始まった富国強兵の国策により、いくつもの戦争や事変をおこし、アジア・太平洋の諸国に侵略・進出し、大勢の犠牲者を出し、敗戦に終わった節目の日です。日本人の多く、たくさんのアジアや世界中の人々が、戦争から解放された日とも言えるでしょう。しかし、沖縄県の芥川賞作家、目取真俊氏はその著書で「沖縄『戦後』ゼロ年」「沖縄に戦後はあったのか、戦争と占領は今も続いている。」と述べています。それは沖縄を訪ねてみれば一目瞭然です。たくさんのリゾートホテルでは頭上を戦闘機やヘリが飛び、国道58号線をドライブすれば軍用トラックが走り、広大な嘉手納基地に目がいきます。辺野古での水陸両用戦車の演習の緊張感を見れば、金武町で行われている都市型訓練の状況を聞けば、今現在イラクやフィリピンなどで戦闘を行っていることが伝わってきます。
翻って日本は本当に60年間平和だったのでしょうか。いわゆる冷戦時代、アジアでは熱戦の時代でした。第二次大戦直後の中国国共内戦に始まり、インドシナ戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争、カンボジア内戦、アフガン内戦、スリランカ内戦、湾岸戦争、アフガン空爆、イラク戦争、他にもあるでしょう。日本は世界中の血の海の結晶として生み出された平和憲法を護ろうという努力と日米安全保障条約の両輪によりいびつな形の平和を維持したとも言えますが、朝鮮戦争での軍需により経済的に復興し、ベトナム戦争には沖縄を経由する形で戦争に参加してきたのです。歴史をひもとけば、その中で多くの国民は他国・他地域での戦争・紛争にも怒り・痛み・悲しみを感じて、反戦運動が展開されてきました。黙って戦争を見過ごしてきたわけではありません。この60年間、平和を感じられる時がどれだけあったのでしょうか。
アメリカ追従の戦争国家化を推める国策に抗議する
私たちジュゴン保護キャンペーンセンターは、今国会に「ジュゴン保護のIUCN勧告を履行せよ」という請願署名を提出しました。4ヶ月の短期間に43000人以上の方から貴重な署名を頂き、紹介議員を通じて衆参両議院議長に提出され、それぞれ環境委員会に付託されました。特に与党議員への働きかけをしている時に、郵政民営化議論の混乱、解散、総選挙という政局の中で議論されないまま廃案となりました。しかし私たちはあきらめません。再度署名をお願いし、臨時国会に提出します。私たちの行動は単に基地建設を止め、ジュゴンを護りたいだけではなく、アメリカ追従の戦争ができる国づくりを推進する国策に抗議するものです。郵政民営化がマスコミを独占する中で、自衛隊改正法案が通ったとききました。リムパックに始まるアメリカとの共同演習の増加が気になっていましたが、とうとう、グアムで空爆の共同演習を始めたという記事がありました。自衛のためになぜ「空爆」演習が必要なのでしょうか。
そのような国策に抗議するために新しい運動も生まれてきています。国や銀行は、税金以外にも、私たち日本人が貯金したお金を使って、米国債を買う仕組みでアメリカの戦争を支えてきました。郵政民営化もその延長上にあるとききます。私たち自身が働いて稼いだお金を戦争に使われないようにするキャンペーンが始まりました。非武装でイラクを復興させようという市民に連帯する運動も始まりました。ジュネーブ条約に基づいて、憲法9条の「非武装」を実践する無防備地域条例の運動も広がってきています。現在、非武装国家は25以上あるそうです国際的にも、日本の安保理常任理事国入りが難しくなったようです。今までの国連での決議を見ても、アメリカ追従がほとんどであり、さらに戦争国家化をすすめる日本に期待できないことがハッキリしているからではないでしょうか。戦争を遂行するアメリカだけでなく、日本の行動も世界から注視されているのです。
辺野古に軍事基地ではなく、ジュゴン保護区を
6月上旬に2週間あまり、辺野古に滞在してきました。業者が来ている日にはやぐらに座り込み、天候の悪いときには北部や東海岸の様々な場所を訪ねました。出会った人と出来る限り話をしました。中でもジュゴン保護基金の東恩納琢磨さんの「キャンプシュワブを丸ごと保護区の施設にしよう」という言葉にワクワクしました。米兵たちの宿泊施設やレストラン、エンタテイメント施設はそのまま保護区の施設にしようという案は現実的です。座り込みテントを監視する建物をそのままジュゴンウォッチの展望台にすればいいし、米兵たちが武器弾薬を携えて、愛するふるさとのアメリカに帰れば今すぐにでも実行可能です。那覇防衛施設局が作った施設を無駄にしなくてもすむグッドアイディアです。
また、ある方から世界中には700以上の米軍基地があると聞きました。沖縄は30以上の基地施設のある超過密地域ですが、世界中に広がる米軍基地に呆然となりつつ、これからの青写真が見えたような気がしました。米兵にアメリカに帰ってもらえば良いのです。基地や軍事施設の使い道はその国・地域が考える。反基地闘争・基地建設阻止行動の上に、「米兵の基地退去運動」を積み重ねたいと思います。日本政府にも協力を呼びかけます。
要請事項
辺野古に軍事基地ではなく、ジュゴン保護区を。普天間基地の即時閉鎖を。
アメリカ追従の戦争国家化をすすめる国策の変換を。平和で、グローバルな外交政策を。
ジュゴン保護キャンペーンセンター