辺野古からの電話メッセージ
当山 栄さん(平和市民連絡会)
防衛施設庁前の皆さんご苦労さんです。沖縄現地から報告します。
沖縄では梅雨に入り、今も雨が降っています。そういう中で24時間体制を強いられております。そういう意味で非常に厳しい状況ですけど、今日は県民会議が県庁に1時半、それからジュゴン監視団が2時半から、夜間作業の件で申し入れを行いました。
その中で、県の見解はボーリング作業は昼間を想定していますという回答を得ています。そういう意味で国の言い分と大きな隔たりがあります。昼間を想定しているという前提で、近々国に対してその立場から物言いをしますという回答を引き出しております。夜間作業の禁止というところまではまだいっていませんけど、県のこのような見解を踏まえてさらに那覇防衛施設局に対して追及していけば、夜間の作業のようなやり方を厳しく糾弾し中止に
追い込めるんじゃないかという一つの希望が見えてきました。
東京の皆さん、東京の防衛施設庁にも攻勢をかけて一日も早く夜間作業の禁止を共に力を併せて勝ち取っていきたいと思います。まもなく沖縄では5・15普天間包囲行動が展開されます。運動的には上り調子にきますけれども、現場の厳しい状況を早めに解決していきたいものと考えています。共に頑張っていきましょう。
山内徳信さん(基地の県内移設に反対する県民会議)
東京で闘っていらっしゃる皆さん、今晩は。私は基地の県内移設に反対する県民会議の共同代表の一人、山内徳信といいます。皆さんが東京で、このように毎週防衛施設庁あるいは防衛庁に波状攻撃をかけて頑張っていらっしゃいますことに、心から敬意を表したいと思います。
さて、昨年の4月19日からボーリング調査を始めるということでやってまいりました那覇防衛施設局に、私たちは1年以上にわたって陸における座り込み闘争、海上における単管足場を中心にしたボーリングを打ち込ませないための海上闘争を見事に闘い抜いております。
今、那覇防衛施設局は、このような沖縄県民日本国民の根強い抵抗に合いまして大変血迷っておる状況が続いております。先月、4月26日には、午前3時、夜中でありますが、彼らは自ら作った作業計画は日の出から日没の昼の間に作業をするということになっておるにも関わらず、彼らは夜中に出てきてボーリング調査の作業の準備に入ったわけでございます。そのことを察知いたしました反対闘争を続けております私たちも、そういうルール違反の当初計画にもなかったような夜間の作業をさせるわけにはまいりません。
それはどういうことかといいますと、夜になりますと外海におりましたジュゴンが内海のほうにリーフの口から入ってくるわけであります。夜、ジュゴンは海草、藻場を食べるためにそこにやってくるわけでございますが、ところが夜那覇防衛施設局が作業をすることによって、ジュゴンがそこに入ってこれないような状況を作っておるわけでございます。私たちはそういうことを絶対に許すわけにはいかないということで、26日は2時から那覇地方裁判所におけるボーリング差し止めの公判がございました。引き続き裁判に参加をしました私たちは、4時から那覇防衛施設局に夜間の作業を即刻中止をすべきであるということで抗議に参りまして、4時から30分ということでございましたが、午後の10時まで6時間に渡って抗議が続いたわけでございます。
その後も4月28日、5月2日、で今日5月9日、こういうふうに連日、その間ゴールデンウィークもありましたので、今日は午前10時半から那覇防衛施設局に夜間の作業中止の交渉をやっております。午後は1時半から沖縄県庁に県民会議は即時夜間の作業を中止させるようにという要求をしております。更に2時半から同じく県民会議傘下の市民団体をはじめ、ジュゴン監視団の皆さん方が波状攻撃、波状的に沖縄県に要求を突きつけております。
沖縄県の文化環境部長は、この夜間の作業が那覇防衛施設局の当初の計画にないルール違反の作業であると同時に、ジュゴンにとって極めて重大なダメージを与えるという、その共通認識ができたわけでございます。従いまして、今日は沖縄県の文化環境部長は、今日始めて新しい部長になってから、私たちは始めて会うわけでございますが、そういうふうな夜間作業がジュゴンにとって極めて重大な影響を与える、そういう共通認識ができますという発言がございました。従って上司にも報告をして、那覇防衛施設局についてもそういうふうな当初計画、作業計画にあったような形で作業はやるべきであって、夜間の作業は止めるべきであるという私たち県民の要求を、それに添った形で申し入れをするとこういう回答がございまして、一応引き上げて参りましたが、その結果につきましては県民会議の事務局長のほうに電話で経過については報告しますという話を引き出して今日は帰ってまいりました。
いずれにしろこの海上基地を作らせないという辺野古闘争は、やはり正念場を迎えておりまして、沖縄におきましてもかような闘いを続けておるところでございます。従いまして、私たちは国民ぐるみあるいは国際ぐるみの闘いをやって、この闘いを必ず勝利をして沖縄に新たな基地を作らせないこの闘いと、沖縄現地と東京で奮闘していらっしゃる皆さんと力を合わせて闘いぬきたいと思います。
東京で頑張っていらっしゃる皆さん方に心から感謝を申し上げて、沖縄から、山内徳信からの連帯のメッセージにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
防衛庁長官 大野功統 殿
防衛施設庁長官 山中昭栄 殿
申入書
那覇防衛施設局は、4月26日未明、単管足場に機材を搬入する一方、その周囲に金網を張りめぐらすという暴挙に出た。当日、午前6時前には、「所要の準備が整い次第、ボーリング調査の掘削作業を開始する」と発表、翌27日には、深夜10時頃まで作業を強行している。また、山中防衛施設庁長官は、「あえて24時間、日中だけとあらかじめ決めていない」と国会で答弁、ボーリング調査をあくまでも推進する方針を明らかにした。
防衛施設庁のかかる言動は、沖縄県が昨年4月に「公共用財産使用協議書」(=海底の使用許可)に同意した際、施設局に対して示した「調査実施の際の環境配慮事項」に違反している。県は、「ジュゴンへの配慮」のひとつとして「作業時間について——全ての作業の作業時間帯については、ジュゴンの確認状況や今後の知見も参考にして、ジュゴンへの影響の低減が図られるよう、随時見直すこと」を要請しているのである。施設局がいうところの「掘削作業」だけに時間的制約を設け、ジュゴンへの配慮を要請しているのではない。詭弁を弄して県との協議を一方的に破棄するという行為を国家機関が行うとは、許しがたいことである。
そもそも、海上基地建設予定地の辺野古沖は、沖縄県の「自然環境の保全に関する指針」で「評価ランク㈵」の「自然環境の厳正な保護を図る区域」に指定されたサンゴ礁の美しい海であり、リーフ内には、国が「文化財保護法」によって指定した天然記念物のジュゴンが餌とする海草が生育している海域である。かかる海域を埋め立てて、国内法および自治体の政策を無視し、米軍が使用する基地を建設する愚挙こそ、日米安保条約を何よりも優先させ、ひたすら米国政府に追随する日本国政府の姿勢がもたらしたものに他ならない。
東西冷戦体制の終結を経て、昨年末に策定された新「防衛計画の大綱」では、わが国に対する「着上陸侵攻」の想定が後退し、自衛隊の規模の縮小すら検討される状況にある。また米国内では、88年以降、基地の整理統含が進行している。にもかかわらず、在日米軍基地の縮小は進展しないどころか、「不安定の弧」なる概念で中国・北朝鮮の脅威を持ち出す米国政府の“戦略的協議”に押しやられ、「基地負担の軽減」すら難航している。他方、世論は自衛隊のイラク派兵に過半数が反対していることからしても、米国のように他国の人びとの犠牲によって血塗られた繁栄を享受しようとは思っていない。
米軍のトランスフォーメーションに係る日米協議の過程で、SACO合意は、事実上破綻しており、辺野古新基地建設もすでに期待されていない。政府内部にすら「辺野古見直し」の声があがっている現在、ボーリング作業の強行は糾弾されなければならない。さらに、防衛施設庁が新たにはじめた環境アセスメントに関わる調査も中止されなければならない。
基地建設に向けたあらゆる作業を中止し、辺野古海上基地建設を直ちに白紙撤回せよ!
2005年5月9日
新しい反安保行動をつくる実行委員会
(第9期・イラクからの自衛隊撤退と沖縄の米軍基地の撤去を求める実行委員会)