防衛庁長官 大野功統様
防衛施設庁長官 山中昭栄様
質問書
辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会
2005年1月20日
私たち実行委員会(現在28団体で構成)は、貴職に対して辺野古海上基地建設計画およびそのためのボーリング調査に関する質問書を提出して、9月13日、11月29日、1月11日と話し合いの場を持ってきました。しかし話し合いの時間も極めて短かく、提出した質問に対する回答も不十分だったため、再度1月24日に話し合いの場を要請しておりますので、それに向けての質問を提出します。その際、十分な時間の確保をしていただきたいこと、しかしなお問題が残ることを考慮すると、前回十分な回答が得られなかったいくつかの問題等については、引き続き話し合いを設定していただくことを要請した上で、今回は質問を絞って提出せざるを得ないと考えます。前々回の話し合いで貴職が、普天間基地の早期返還の実現を、一日も早く皆さんの不安を解消したいという考えから、今まさに全力で取り組んでいると言われたことを、文字通り実現することを切に期待し、以下の質問に対する回答を要請します。
1:3−13で、スパット台船の脚部の底板がサンゴを破壊したことについて
12月27日、貴職はボーリング調査用足場(スパット台船)の設置時と撤収作業時の2回、サンゴを破壊したことを認めました。そして更に、砂場以外の場所では底板を外して行なうと発表しました。
(1) 当初の計画では、底板が必要だからつけることになっていたものを、外してもできる、と判断した技術的根拠は何か、という質問に対して。底板の役割として、支持力と地盤の強度の両方が問題になりました。貴職の回答は、岩礁なら支持力は大丈夫、支持力が比較的低い場所でも加重分散をしてそれで足場がのめり込まないような構造になっているものと認識している、と回答し、地盤の強度はボーリング調査をしてみなければ分からない、岩礁なら大丈夫、と回答しました。また一方で、実際の岩の強度については、普通は分からないから(底板を)外さないわけですが、結果的に底板があるから傷つけたので、善後策として底板を外すことを考えました、と回答し、更に、ボーリング調査のために設置する足場が地盤の強度に耐えられるのかどうか、ボーリング調査をしなければ分からないから堂々巡りだ、と回答しました。ということは支持力も地盤の強度も分からないままに行なう、ということを意味しているのですか。
(2) 仮に(1)の支持あるいは強度についてクリアできたとして、この方法で実施した場合に、自然環境に与える
影響を軽減、回避できると判断した根拠を示してください。
(3) 2003年11月に作成された作業計画では、5名の専門家がジュゴン、サンゴ、魚類、その他に対する影響についての助言を行なっています。その5名の専門家の氏名・所属・文献など略歴を明らかにしてください、という質問に貴職は、公表しない前提で協力をいただいた、と回答しました。しかし作業計画への助言「サンゴへの配慮は十分なものと思われる」云々は、すでに助言通りではなくなったことを考えると、専門家の選定の適不適について、どのように考えますか。また、公表できない専門家を選定することについての可否については、いかがですか。
2:受注業者の暴力行為について
(1) 前回、貴職は、那覇施設局の監督官がサンコーコンサルタントから、トラブルが12月以来、2件あったことは聞いている、と回答し、安全対策は当たり前のことだ、とも回答しました。また、海上保安庁が調査していることを、聞いていない、と回答しました。トラブルは相手があって起こるものです。特に被害にあった人に対して監督官はどのように事情を聞き、どのように対処しましたか。
(2) 18日、現地からの話では作業員の責任者が「突き落として良い」「くくって落とせ」と発言したと聞いています。このような脅しのことばが出るような事態に対して監督官は、どのような防止策を行ないましたか。また、こうした事態を防止するために、監督官は、どのような行動を取っていますか。
(3) 11月にも、またパシフィックコンサルタンツでも暴力行為があった事実に、どう対処しますか。
3:辺野古への移設が普天間返還の最も現実的、実現可能な道である、とした点について
(1) 1月11日、貴職は普天間の返還について、○ヘリポートの嘉手納飛行場への集約、○キャンプシュワブにおけるヘリポートの建設、○辺野古への海上基地建設の3案の中から、前の2案に比べて米軍の運用能力の維持と県民の負担の軽減、というところから3案目が最善の選択である、と回答しました。この回答は、先に提出した次の質問には回答していません。すなわち、12月20日に提出した質問書の中の[6㈪もろもろの案を検討した結論を、それぞれの案毎に示してください。6㈫辺野古への基地建設が「最も現実的で確実な道」と判断した(現在もそのように判断している)根拠・理由を示してください。6㈬前の質問で、住民の意向をどのように反映させたか、示してください。]への回答を示してください。
(2) 1月11日、実行委員会側から、3案以外の検討はなされたのかという質問が次々に出されました。たとえば、第4案 県外移設について、第5案 米国本土への移設について、第6案 代替なき返還について、第7案 その他もろもろについて、どのような検討がなされた結果の結論であるのか、説明してください。
(3) 前質問の第6案とも関連しますが、参院沖縄・北方特別委員会の木俣佳丈委員長ら7名は14日、3日間の県内視察を終えて県庁で記者会見をした。米軍普天間飛行場の返還問題について、自民党の委員を含む6氏が「代替施設なき返還」を求める意向をそろって表明した、と沖縄タイムスは15日に報道しました。こうした動きをどのように認識しますか。前回も、SACOの作成者であったキャンベル氏が、環境破壊、あまりに巨額な費用、住民の不支持などを理由にSACO見直しも必要だ、と発言したことについての見解も、十分な回答をいただいておりません。
(4) 仮に8年前、様々な条件や制約の中で、辺野古への移設が最善の道である、と判断されたとしても、その後の状況の変化を加味し、検討を加え、より良い結論を導くことが行政・省庁の役割だと考えますがいかがですか。すなわち、○l5年使用問題が日米政府との間に未解決であること、○加えて建設に要する期間が3年プラス9.5年プラス3年にわたること、○昨年8月、普天間基地で起きたヘリ墜落・炎上など周辺住民への危険・恐怖増大、○県民の8割以上の反対、○環境影響評価をやる前に掘削のための足場設置というほんの入り口の段階で、すでにサンゴを破壊していること、○暴力行為による工事の強行に対する世論の反発などなど。
前回の話し合いで、次の項目について十分な回答が得られませんでしたので、次回、再質問します。
4 下地島使用問題 5 米軍の金武町伊芸区への都市型戦闘訓練施設建設問題 6 IUCN勧告についての見解 7 ジュゴンの生態について
以上