防衛大臣 高村正彦 殿
要 請 書
8月7日、沖縄防衛局は、辺野古崎沿岸部への新しい米軍基地建設に係わる環境影響評価方法書を、沖縄県が受理を保留する中で、一方的に送付しました。そして8月14日から、沖縄県の協力を受けられない中、これまた一方的に沖縄県内5箇所で、方法書の公告縦覧を開始しました。
私たちは、地元住民や自治体の意向を無視して一方的に強行された方法書の公告縦覧は、アセス法の趣旨を大きく捻じ曲げ、それに大きく反するもので、絶対に容認できるものではありません。
また公告縦覧会場も沖縄県内5箇所に限られ、地元自治体の意向を無視して強行したが故に公共施設の提供などの協力を得られず、ホテルの一角や民間アパートなど公告縦覧にふさわしくない場所で行っています。総じて防衛省は手続き的に形式的に行えばいいという態度に終始しています。
方法書自体の内容においても、@環境調査を行う位置、調査のために設置する機器の詳細図が示されていない、A使用する航空機の種類が明記されていない、これは騒音や危険性がたびたび指摘されている『オスプレイ』の配備を隠そうとするものであり、B滑走路の幅や護岸箇所の図示がない、など方法書として大きな欠陥を持っています。これでは、工事中また完成後の運用によるアセスなどできず、方法書とはいえません。
そもそもこの方法書提出以前の問題として、防衛省が4月以来暴力的に強行している事前調査は、5月21日の照屋、赤嶺両衆議院議員が同席した地元住民との交渉において、佐藤勉那覇防衛施設局長も事実上認めているように、アセス法に基づかないもので違法行為です。アセス法にのっとても、方法書を提出するなら、現在強行している事前調査をまず中止すべきです。なぜなら環境現況調査は、方法書の手続きの後に行うべき調査だからです。
8月3日、環境省は、レッドリストを見直し、沖縄のジュゴンを絶滅危惧の最も高い「絶滅危惧1A類(CR)」と評価しました。ジュゴンの生息する辺野古に基地を作ることは、ジュゴンの絶滅を早めるだけのものであり、環境保護に全く反するものです。
一方海上保安庁は、来年度予算要求で、「中城海上保安部」を設置し、巡視船3隻と63名の人員増を要求することにし、また第11管区海上保安本部に新たに「刑事課」を設置することが明らかになりました。これは完全に辺野古の阻止行動対策であることが明言されています。
私たちは、防衛省が海上保安庁と一体となって、侵略戦争の拠点と環境破壊の元凶である基地建設に反対する人々をますます暴力的に弾圧することを許しません。
朝鮮半島では、朝鮮半島の非核化を巡る朝米交渉が進展し、来月初めには第二回の南北首脳会談が行われようとしています。このような時に、沖縄に新たな米軍基地を作ることは、平和と統一へ向けた流れと逆行し緊張を高めるもので、私たちは断固反対です。
以上の点から私たちは次のことを要求します。
1、 違法な事前調査を即時中止すること。
2、 事業内容や調査地点が明示されていない「方法書」を即時撤回し、公告縦覧を中止すること。
3、 辺野古岬沿岸での新たな米軍基地建設計画を白紙撤回すること。
2007年9月3日
日韓民衆連帯全国ネットワーク
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