防衛庁長官 大野功統 様

防衛施設庁長官 山中昭栄 様

緊急要請書




辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会

2004年12月20日

 辺野古において貴職が進めようとしているボーリング調査によって、サンゴ礁が破壊され、ジュゴンその他の動植物の生存が危機にさらされようとしていることに、悲しみ・憤りを禁じ得ません。加えて、地元住民の生活をかけた反対行動の中で、すでに何人かの方々がケガをされている事実に対しても、憤りを感じないではいられません。

 こうした緊迫した中で、私たちの会は貴職に対して、質問を携えての話し合いを、20日に持つように申し入れました。一旦はそのように組まれた話し合いを、一方的にキャンセルされたことについても、非常に遺憾に思います。

 私たちは、地元住民の気持ちを汲むだけでなく、同時に納税者として、より有効な政策に私たちの税金が使われるよう、監視・チェックする義務と責任を常日頃、感じています。政府側にとっても、多くの市民のチェックの眼が働いていることは、重要な安全装置・ブレーキの役割として、ないがしろにできないことと確信しております。以上の理由から、年内に話し合いを持てなかったことに対して、あらためて遺憾の気持ちを伝えるとともに、今回提出する質問への回答(今週中に文書回答を要請した)と話し合いの実現を、年明けには早々に実現することを強く要請いたします。

 12月14日には、SACOの最終報告をまとめたカートキャンベル氏が、講演や新聞社のインタビューでSACO最終報告は見直すべきだと言いました。そして辺野古への移設が進まない理由を、巨額の資金が要ること、環境問題、住民の反対、をあげています。

 更に琉球新報(12月17日号)の社説では、SACO返還遅れの最大の要因は「移設条件」にある、と指摘し、見直しを主張しています。返還の遅れは、地元住民の切実さはもちろんのこと、私たち納税者の過重な負担を強います。社説は、「普天間基地のように巨大な施設を移設しようとするから無理がある。撤去なら早い。」とも指摘しています。

 こうしたなかで、名護市議会は、「IUCNの『日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全』再勧告を尊重し、日本政府の誠意と責任ある対応を求める意見書」を採択しました。

 沖縄県議会でも、ボーリング調査の中止を求める発言が相次いだ、と報道されました。

 那覇防衛施設庁前では、ハンストが続き、県庁前でも座り込みが始まっています。「住民の望まないところに基地は置きたくない」というラムズフェルド国防長官の発言や「沖縄に過大な負担を強いてきた」という小泉首相の認識を、あらためて想起してください。一方で、来年度予算としてSACO経費に263億円、辺野古の技術調査に27億円を要求した、とは、一体、どのような見通しの上での要求なのでしょうか。貴職が担っている政策の正当性を確信するなら、私たちに対して、きちんと十分な説明をしてください。





防衛庁長官 大野功統 様

防衛施設庁長官 山中昭栄 様


質問書(再質問を含む)


※今週中の文書回答を要請した

辺野古への海上基地建設・ボーリング調査を許さない実行委員会

2004年12月20日

 私たち実行委員会(現在28団体で構成)は、辺野古沖海上基地建設計画およびそのためのボーリング調査に関する貴職の対応および業者の振る舞いに非常な懸念を持って、前回11月29日に、5個(実質4個)の事前質問と3個の緊急追加質問を提出し、貴職との話し合いを持ちました。しかし回答を聞くだけで20分が経過し、回答への質問も十分にできず、もっと時間を取ってほしいと要望して終わりました。ここに再質問も含めて質問を提出し、話し合いの機会をお願いしたいと思います。


  1. 1 (前抗議要請書の1) 11月20日、ボーリング用足場(スパット台船)の設置時、サンゴ礁を破壊したことについて。破壊箇所はリーフの外側で、平島側にある掘削ポイント3-13(防衛施設庁「地質調査位置図」による)。これについて、貴職は、本日潜水調査を行うと回答しました。
    1. (1)調べた結果を公表し、どう判断されたか、ご回答ください。
    2. (2)どのような再発防止策を立てているのか、示してください。
    3. (3)「地質調査位置図」の資料提供を求めます。
  2.  (前抗議要請書の2) 西正典那覇防衛施設局長の次の発言「サンゴが死滅して岩となったサンゴ礁と生きているサンゴは別だ。足場設置でサンゴ礁が削られたのは確かだが、我々が作業場で細心の注意を払っているのはサンゴを守ることだ」について、前回の回答は、あくまでも推測、ということで「生きているサンゴと死んでいるサンゴ、ということだろう」「調査位置を選定したときに専門家の助言を得た」という回答でした。
    1. 西局長の真意を、ご説明ください。サンゴ礁は破壊されても問題ない、という意味ですか.そうであるならば、生きているサンゴはどのように生息していると理解されていますか。
    2. 専門家の名前、所属文献など略歴を明らかにしてください。
    3. 那覇防衛施設局が作成した「作業計画」及び「16項目の環境配慮事項」の資料提供を求めます。
  3. (前抗議要請書の3) 県に報告した調査結果の公表を求めます。
  4.  (前回・暴力行為について、当日テープで流した件) 海底で殺人未遂的なことが行われていることについて、前回の回答は、「新聞報道で知った」「安全対策に万全を期すことは大前提」「調査会社の実際の担当者に確認したところ、そのような事実はないという報告を受けた」と答えました。
    1. 確認した調査会社の名称を明らかにしてください。
    2. 会社からの情報の他に、海上保安庁、新聞報道、暴力の被害者、けがをされた方、それぞれからの情報をどのように入手・検討していますか。
    3. 貴職の監督責任として、新聞報道以前に情報を入手する経路をどのように確立していますか。
    4. どのような再発防止策を立てていますか。
  5.  (前回・事前質問1) 調査についての進捗状況および今後の調査・工事予定についての質問に対して・前回の回答は、「普天間の早期返還は大きな課題である」「辺野古の建設に環境影響評価に(4月から)約3年、工事に約9.5年かかる」と答えました。
    1. この予定で完成するのは「2016年秋」ということになりますが、稲嶺沖縄県知事は海上基地の「15年使用期限」を米側に要請しています。2031年以後の計画はどのように考えていますか。
    2. 環境影響評価および工事にかかる費用の額をそれぞれ示してください。
    3. 普天間早期返還に向けて、SACO合意の見直しを求める住民の声を、どう受けとめていますか。
  6.  (前回・事前質問2) 普天間基地返還について、「一日も早く皆さんの不安を解消したいと言う考えから、その実現に向けて今まさに全力で取り組んでいる」「辺野古に代替施設を建設するということが、普天間飛行場返還の最も現実的で確実な道である」と回答されました。それに対して、「『最も』ということは、複数の選択肢があって、その中から辺野古が選ばれたということなのか、どのように辺野古が選ばれたのか」と質問したところ、「嘉手納統合案など、諸々の案の中から辺野古が一番良いという判断で選ばれた」という回答でした。
    1. 諸々の案をすべて提示してください。
    2. 諸々の案を検討した結論を、それぞれの案ごとに示してください。
    3. 辺野古への基地建設が「最も現実的で確実な道」と判断した根拠・理由を示してください。
    4. (3)の中で、住民の意向をどのように反映させたか、示してください。
  7. (前回・事前質問3) 下地島使用について、外務省は「米国からの通告はない」としているが、防衛庁はどうか、について「外務省と同様、防衛庁に対してもそういった事実はない」「政府部内でどういう検討をやっているのか、回答を差し控えさせていただく」という回答でした。
    1. 回答を差し控える理由を示してください。
    2. 交渉の事実は、全くなかったのか。明らかにしてください。
  8.  (前回・事前質問4) 米軍の金武町伊芸区への都市型戦闘訓練施設建設について、「金武町への説明をしてきている。これまで流弾事故など起こっていることへの米軍の安全対策に懸念があることは承知している。政府としては、米軍は公共の安全に一定の配慮をしているものと認識して、考えている」と回答されました。
    1. 金武町には、どのように説明したか、示してください。
    2. 米軍が公共の安全に一定の配慮をしている、と政府が認識した根拠を示してください。
  9. IUCN勧告について、見解をお聞かせください。
  10. ジュゴンの生態について、ボーリング調査および海上基地建設による藻場の破壊について、どのように把握しているか、お聞かせください。






防衛庁長官 大野功統様

防衛施設庁長官 山中昭栄様



要請書



 座り込みが開始されてから8ケ月、海上阻止行動が開始されてから3ケ月を越える月日が経過しています。この問、政府・防衛施設庁・那覇防衛施設局が行っていることは・住民の暮らしと命を破壊する違憲・違法の人権侵害です。あなたがたの卑劣極まりない暴挙は、私たちの怒りを絶えず大きくするものです。

 ボーリング調査は明確に環境アセスメント法に違反しています。それについては、先月IUCN(世界自然保護会議〉が採択した日本政府に対する「再勧告」においても指摘されるとともに環境を大きく破壊するボーリング調査の即時中止が求められています。

 また、那覇防衛施設局側の作業員は海上・海中阻止行動を行う住民に対して、「殺人未遂行為」と言っても過言ではないような暴力を繰り返してきました。そして先日、やぐらにのぼり調査をやめさせようとしていた人を転落させ、ついに怪我を負わせるにいたりました。国家の暴力によって住民の意思を叩きつぶそうというこの暴挙を断じて許すことはできません。

 現在、この新基地建設計画に対して8割以上の県民が反対しています。またこの間は近隣の漁民も続々と立ち上がりボーリング調査の中止を訴えるなど・基地建設反対の声は着実にさらに大きく広がりつつあるのです。

 辺野古の座り込みと、海上・海中での阻止行動を闘う住民に正義があります。私たちは、辺野古の海を破壊し米軍の侵略拠点をつくることに断じて反対し、ボーリング調査の即時中止と新基地建設計画の白紙撤回を求めます。

2004年12月20日

NO!レイプNO!べ一ス女たちの会






防衛庁長官 大野功統様

防衛施設庁長官 山中昭栄様

ボーリング調査の即時中止・辺野古新基地建設の白紙撤回を求めます


 9月9日以降強行されたボーリング調査は、反対する多くの人の闘いによって、遅れに遅れ、あせった防衛施設局の指示により、11月16日からの資材の設置は凶暴な暴力行為をともなって行われました。

 海に飛び込んだ人間を確認しながら、巨大な作業台船が進攻してきたり、潜水をしている人間に暴行を加えたり、その行為は先々週には連日のようにエスカレートしました。単管をつかむ両手をふりほどかれ転落し頭部を強打した女性、数人に押さえつけられ腰を痛めた男性、後ろからライフジャケットを引っ張られ落下し後頭部を単管に打ち付け意識を失った男性と、まかり間違えば命に関わる怪我を負わされた人が続出しました。

 にも関わらず、作業は中断することなく、見境のない暴行は続きました。現場の監督責任は防衛施設局にあります。海では弱いものが優先保護されるというルールも、どんな場合でも人間の命が最優先されるという、あたりまえの倫理さえ無視され、しゃにむに作業を強行する、作業を請け負っている業者(特にサンコーコンサルタント)の蛮行は許すことができません。一切の責任は作業を監督指示している防衛施設局にあり、最終責任は防衛庁長官、あなたにあります。もちろん小泉首相、あなたもです。

 先週には、国頭、宜野座、金武等の海人たちが「わったー海を守ろう!」と海上阻止行動に参加しています。海に暮らし海の恩恵を受けた者ほど、海の大切さがわかるのです。

 調査に伴う環境アセスメントも行わず、スパット台船を設置する際に明らかにサンゴを破壊しているにもかかわらず、そしてIUCN(国際自然保護連合)が、異例の2度目の勧告を日米政府に出しているにもかかわらず強行されている調査はそれ自体が違法です。

 あの岸本名護市長でさえ、受け入れ条件として「自然環境への配慮」を挙げてました。稲嶺知事も9月の議会で「辺野古固執せず」と答弁をしています。名護市の市民投票では基地移設反対が過半数を超え、現在沖縄県民の8割が移設に反対の意思表示をしています。

 これを尊重するのが国民主権というものです。「防衛」庁とは国民を守るものではないのですか。政府は国民のためにあるのではないですか。それが民主主義というものです。防衛庁のみなさん。あなたたちは公務員です。公務員は憲法を遵守する義務があります。

 「命どう宝」と沖縄では言われます。これは万国共通の価値ではないですか。沖縄の人は、そして私たちも沖縄の米軍基地から出撃する米軍が、世界の人々を殺すのを拒否しているのです。これも当たり前の人々の思いではないですか。防衛庁のみなさん、失われている、人としての「魂(マブイ)」を取り戻してください。

 国民を守るべき防衛庁の施策により、国民の命さえ脅かして強行している辺野古の調査作業を即時中止し、辺野古基地建設の白紙撤回を要請します。

2004年12月20日


新宿西口で反戦意思表示をする者の有志