防衛庁長官 石破 茂様
防衛施設庁長官 山中 昭栄様

アメリカの先制攻撃政策に加担する辺野古新基地建設中止を求める申入書

 私たちは、日本の戦争国家化と自衛隊の海外派兵に反対する運動を続けている反戦・反基地運動グループです。私たちの活動は、1995年9月の在日米軍兵士による3人の少女に対するレイプ事件をきっかけに沖縄全土で広がった、反日米安保・反米軍基地の運動に連帯することから始まりました。

 戦後も一貫して巨大な米軍基地の存在によって苦しめ続けられてきた沖縄の民衆の反米軍基地の声は、しかし、日米両政府によって逆手に取られ、アメリ力の軍事力による世界的な支配を支えるための安保体制の拡大・強化という方向に利用されてしまいました。

 辺野古の海上基地建設も、人口密集地にある危険な普天間基地の代替ということながら、普天間基地よりさらに強化拡大された機能を有する新基地として建設が進められようとしているものです。

 96年の日米安保の「再定義」は、そもそも安保条約の改定を必要とする根本的な変更を含んでいるにかかわらず、政府は、ガイドラインの見直し(新ガイドライン策定)という方法で国会で議論することすら封じ込める方法でもって強行してしまいました。それは、日本の防衛の枠をはるかに越えた全世界で米軍の戦争に協力することを担うものです。

 さらに、2001年9月のテロ事件以降、米国は、あからさまな核兵器の使用も含む先制攻撃政策(ブッシュドクトリン)を採用し、実際に、アフガニスタンやイラクで多数の民衆を殺戮しています。

 アメリカの軍事政策が国際法では全く許されていない先制攻撃政策を採用するという重大な変更をきたした以上、本来ならば、日米安保体制も見直しが求められるべきものです。しかしながら、小泉政権は、議論することすらなく、なんら
の躊躇も示さずひたすら米国の軍事政策に追随していくばかりです。

 そうしたなかで、この4月のボーリング調査の強行に抗して、今日まで100日を越える現地で座り込みを続ける辺野古住民の主張は、「民衆殺戮の拠点となる軍事基地を許さない」、「生活(くらし)を支え生命をはぐくむ辺野古の海を守れ」というものです。

 我々も「武力で平和はつくれない」「武力で平和は守れない」と主張しています。

 「国民の生命・財産を守る」ことを責務とする貴職らは、それが「武力によって可能」と考えるとしても、少なくとも他国への侵略的な先制攻撃(それも嘘で固めた根拠のない理由に基づく)政策に追随するべきではないと私たちは強く訴えます。また、暮らしをささえる海を守るために辺野古ですわりこみを続けるオジィ、オバァの声に耳を傾け、「生命・財産を守る」ということが具体的にはどういうことであるかを改めて考えていただくことを切に求めます。

 そして、先制攻撃政策を支える新たな軍事基地建設を直ちに中止し、計画を白紙撤回することを強く求めます。

2004年8月2日

自衛隊の海外派兵と戦争協力に反対する実行委員会
東京都千代田区三崎町3-1-18 市民のひろば気付
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