From: "辺野古命を守る会" <henoko@f5.dion.ne.jp>
To: <"Undisclosed-Recipient:;;"@mx-list.jca.ne.jp>
Date: Wed, 17 Nov 2004 08:10:05 +0900

Subject: [keystone 9864] 阻止行動日誌212日目。富田晋。
X-BeenThere: keystone@list.jca.apc.org


11月16日(火)
・作業台船が辺野古に侵入!!作業を阻止!!

辺野古は昨日に引き続き作業台船が中城湾から離れ、中城湾から2キロほど行った所
のホワイトビーチ沖合い500メートル沖合いに停泊してから緊張が高まっていまし
た。
「午前6時30分に作業台船がホワイトビーチ近海より出航した!!」との連絡が入り
午前5時には集まっていた座りこみ参加者に再度緊張が走る。今日は午前7時にはテ
ントが立っていました。泊り込みをする人を含め午前7時にはすでに50人が集まっ
ていました。
午前9時30分作業台船が辺野古近海まで迫っているとの連絡。阻止船4隻、カヌー
隊22隻が準備を整えます。
出航前に命を守る会のおばぁ、おじぃが「必勝祈願、安全祈願」のために浜辺に集ま
り「うがみ」をしてくれました。
92歳のヨシおばぁが海の神への捧げものをござの上に置きゆっくりとおじきをして
一言二言何かしゃべっています。マスコミとカヌー隊でいっぱいの浜辺にひっそりと
した静かな時間が流れます。
ヨシおばぁの後ろ姿がまぶしく、その真剣な眼差しに胸を打たれました。感極まって
涙を流す人も少なくありませんでした。私もその一人です。
カヨウのおじぃが「天の神様、どうか基地を作らせんで下さい。命を張って闘う人達
にどうかその力の限りお恵みをお与えください。おねがいします。」涙を流しながら
声を張り上げて言いました。
「うがみ」を終えると海の神様が"食べた"捧げものが一人一人に振舞われます。お
ばぁが私に「生き抜きなさい、どんなことがあろうとも。」とバナナを手渡してくれ
ます。おじぃも寄ってきて、目に涙をためながら「晋!ありがとう。ありがとう。生
き抜いてくれ、生き抜いてくれ!必ず生きておじぃに顔を見せてくれ!」と、泡盛を一
杯注ぎ私に手渡しました。そのおじぃを見て私の目には自然と涙が溢れていました。
震える手を押さえておじぃからの杯を受け取り、一口なめる程度いただきました。
「がんばります。」

私と夏芽さんの船は作業船へ一足早く向かいます。
海は台風の影響もあり荒れていて4〜5メートルありました。高波、荒波を超えて作
業船のところまで。
スーパー固定ブイを積んだ作業台船は曳航するためのタグボート1隻と警戒船1隻を
つけていました。私は作業台船の船長に見えるように合図を送り、「これからあなた
の船の前に入る」と大声で叫び夏芽さんと2隻で山か島のように巨大な作業台船の前
に立ちはだかりました。
夏芽さんの船が入った時はまだ船長が気づいていなかったのか進んできます。ぎりぎ
りのところで避ける。次に私が入ります。今度は気づいた様子で作業台船はバックし
ました。
「このまま止め続ければ」と考えたのですが、余りにも波が高く、私達の船はどちら
も限界を超えたので後ろ髪をひかれながらもその場から撤退。
帰りは行きの倍近くの時間がかかりながらもまた高波、荒波を超えて帰ってきまし
た。
座りこみとカヌー隊に現状を報告して昼食をとります。
陸で見えることは限られていて、海でのすさまじい攻防戦は見えていない。質問があ
れば必死に答えました。

午後11時には作業台船が沖合いに見えてきました。午後12時半には長島、平島の
あたりに停泊していました。「停泊した」ということもあり再度、私と夏芽さんは2
隻の船で作業台船に近づきます。辺野古漁港より出航した警戒船が6隻も作業台船の
周りを取り囲み私達の行動を阻もうとしてくる。
私の船が近づくと作業台船が動き出しました。どうやら大浦湾に向かっている。そこ
で停泊するつもりなのか。2隻の阻止船は大浦湾に入れさせまいと決死の阻止線を張
る。
長島の沖合いで阻止線が成功し、一時作業台船が止まります。
焦った警戒船が私達の排除をしようとしてきます。警戒船と阻止船は追い抜きあい、
阻まれ、突破し台船を止めに入りました。

しばらくすると本格的に作業台船が動き出す。
また、阻止船2隻で立ちはだかる。
しかし、今度は止まろうとしない。阻止船と作業台船の距離がすごい勢いで縮まって
いく。十メートルが一メートルに、一メートルが50cmに。「危ない!!」阻止船はぎ
りぎりの判断の中で立ちはだかったりということの攻防戦が続きました。
そんな時に一度私と夏芽さんの船が作業台船の波に飲み込まれそうになり接触しまし
た。台船との距離はありません。「ガーーーン!!」私の船が横転しそうになる。殺人
未遂だ。海の上では「強いものが弱いものを虐げてはならない」というルールがあ
る。絶対にこんなことはあってはならない。私はその時に初めて「死」を覚悟しまし
た。
死を覚悟した時に「生き抜いて帰って来い」おじぃ、おばぁたちの声が聞こえまし
た。生き抜かなければいけない!!死ねない!!無理やり、何とか体制を取り戻し、作業
台船に飲み込まれそうになる船をそこから離しました。
作業台船が向かってくるのは確かに怖い、しかし、それ以上に怖かったのは私達を上
から見ている作業員達の顔でした。彼らは踏み潰されそうになる私達を笑顔で見てい
ました。基地建設は人間性を破壊していく。「人一人死なないとわからないのか!!」
作業員に訴えるがにやにやしている。
じりじりと大浦湾に侵入してきます。

動力船では止まらない。夏芽さんともう一人の男性は作業台船の前に身一つで飛び込
みました。まさに決死の覚悟で。私はその光景に顔面を蒼白にしながらも救助兼阻止
行動に入りました。
夏芽さんは作業台船に飲み込まれそうになる数センチ手前で救助されました。もう一
人が見当たらない。「まさか!!」不安が頭をよぎる。作業台船を一周するが見当たら
ない。「まずい!!」と頭が真っ白になる。するとすぐ近くで指笛が鳴る。警戒船をし
ていた海人が飛び込んだ男性を救助してくれていました。
作業台船はその場で停泊せざるを得なくなっていて、アンカーをおろしました。

午後3時30分、作業台船はそこで止まり、停泊しました。大浦湾の入ったところで
す。そこから動かなくなり、周りにいた警戒船も引き上げていったので私達も引き上
げることにしました。
その間、カヌー隊は2隻の阻止船と共にリーフ内を守ってくれていました。
座りこみに帰ってくるとおばぁ達が駆け寄ってきて私に「よく帰ってきた」と声をか
けてくださいました。最後の報告集会を終えてやっとこさ、今日が終わりました。

私達は今日、作業台船によるボーリングやぐらの建設を止めました。結果的にスー
パー固定ブイを積んだ作業台船は大浦湾に停泊しています。明日はスパット台船を乗
せた作業台船が来ると思われています。そしてリーフ内用のやぐらを立てるための台
船も。明日はさらに緊迫した朝を迎えると考えられます。辺野古に集まってください
!!

私達は生き抜いた。今日はそのことが何よりも勝利です。