[表題]劣化ウラン弾――湾岸戦争で何が行われたか
(原題:Metal of Dishonor; Depleted Uranium, How the Pentagon Radiates Soldiers and Civilians with DU Weapons)
[出版]日本評論社
[監訳]新倉修
[翻訳]石塚靖子、上林正巳、岡崎敏雄、大畑豊、小泉雅英、戸田賢二、野副達司、野村修身、松崎早苗、米田奈柄
[価格]2500円
[目次]
日本語版へのまえがき:ジョン・カタリノット&サラ・フランダース
監修にあたって:新倉修
まえがき
第1部 序論 ―― 劣化ウランにどう対処するか
第1章 独立した調査活動をめざして:サラ・フランダース
第2章 劣化ウラン兵器を禁止する:ラムゼー・クラーク
第3章 新しい種類の核戦争:ヘレン・カルディコット
第4章 劣化ウラン兵器の使用禁止を求める国際アピール:起草:ラムゼー・クラーク
第2部 湾岸戦争に参加した兵士は劣化ウラン兵器でどんなに被害を受けたか
第5章 二次被害――湾岸戦争中に米軍はどのように劣化ウラン被曝を受けたか:ダン・ファーヒー
第6章 湾岸戦争症候群と生きて:キャロル・H・ピコー
第7章 もう一つの生体実験:ドロレス・リムバーナー
第3部 戦略とペンタゴンの隠ぺい工作
第8章 2つの症候群の物語――ベトナム戦争と湾岸戦争:ジョン・カタリノット
第9章 軍とメディアによる劣化ウラン弾隠し:レノーラ・フォアステル
第10章 過去を葬り将来の戦争のために劣化ウラン兵器を擁護する:トッド・エンサイン
第11章 「国家保安」は原爆帰還兵の苦痛を隠ぺいする:パット・ブラウディ
第12章 奇怪なリサイクルプログラム――傲慢な暴力:アリス・スレイター
写真とイラスト ………………………………………フランク・アレグザンダー編集
第4部 軍隊による放射線被曝の被害を被った先住民
第13章 インディアン居住地でのウラン開発:マニュエル・ピノ
第14章 ウラン、ペンタゴン、そしてナバホの人々:アンナ・ロンドン
第15章 核実験と政府の秘密そしてマーシャル群島の人々:グレン・アルカレイ
第16章 先住民反核サミットの宣言(1996年9月5〜8日、ニューメキシコ州アルバカーキー)
第5部 低レベル放射線のリスクとは何か
第17章 劣化ウラン――危険な廃棄物の山:ミチオ・カク
第18章 核実験、原子力発電所、そして乳ガンの発生:ジェイ・M・グールド
第19章 9本足のカエル、湾岸戦争症候群、そしてチェルノブイリ調査:ロザリー・バーテル
第20章 劣化ウランの散乱と湾岸戦争帰還兵等の汚染:レオナルド・A・ディーツ
第6部 湾岸戦争でイラクや諸国が被った環境被害
第21章 墓場――イラクにおける環境破壊:バーバラ・ニムリ・アジズ
第22章 劣化ウラン弾が砂漠を白熱させる:エリック・ホスキンズ
第23章 劣化ウラン砲弾の残骸がどれほどイラク、クウェート、サウジアラビアに有毒であったか:シーグワルト=ホースト・ギュンター
第24章 イラク常置使節団の国連人権センターあて覚書(1996年5月21日、スイス・ジュネーブ)
第25章 原子炉は米国の最初の標的:スージー・T・ケーン
第7部 劣化ウラン禁止のために法廷闘争はできるか
第26章 核兵器廃絶における医師の果たすべき役割:ビクター・サイデル
第27章 国連人権小委員会は劣化ウラン禁止を議決した:フィリッパ・ウィンクラー
第28章 劣化ウラン兵器と国際法:アラン・ウェア
[付 録]
1 劣化ウランに関する政府資料
2 劣化ウランを使っている兵器
3 劣化ウランの研究、試験、貯蔵に関係する施設
4 オランダのラカ(LAKA)財団の報告
5 劣化ウランをめぐる世界の情勢
6 国際行動センター(IAC)
7 劣化ウラン兵器とウラン廃棄物に関する団体
国際行動センターの書籍とビデオの紹介
翻訳出版の経緯(翻訳者あとがきに代えて):野村修身
翻訳者紹介
[著者紹介]
グレン・アルカレイ(Glenn ALCALAY)
ニューヨーク出身の人類学者。「放射線被害者全国委員会」(National Committee for Radiation Victims)の委員。20年以上核問題に取り組む。主な研究業務は、マーシャル諸島の放射能汚染。
フランク・アレクサンダー(Frank ALEXANDER)
写真を用意するとともに、この本で使った資料の整理を手伝った。環境問題や反戦運動の活動家。
バーバラ・ニムリ・アジズ(Barbara Nimri AZIZ)
中東問題を専門とする人類学者でありジャーナリスト。中東全域を旅行し、湾岸戦争の前から現在までに何度もイラクを訪問して、社会的経済的な事情を詳しく調べている。イラクに対する戦争と制裁の影響を専門的に分析している。博士号をもち、ニューヨークの日曜午後のラジオ放送番組「パシフィカ−WBAI」を制作。
ロザリー・バーテル(Rasalie BERTELL, GNSH)
「公衆衛生問題国際研究所」(International Institute of Concern for Public Health)の創立者でのひとりで、現在は所長。「国際保健展望」(International Perspectives in Public Health)という雑誌の編集長。博士号をもち、インドのボパールでのユニオン・カーバイド社毒ガス中毒事件の後遺症を調査した「ボパール国際医療委員会」(International Medical Commission - Bhopalh)や、「チェルノブイリ国際医療委員会」
(International Medical Commission - Chernobyl)を指導した。「イオン化放射線による健康被害についてのハンドブック」や基礎的な「直ちに危険ではないけれど――地球の放射能被害の予測」(No Immediate Danger: Prognosis for a Radioactive Earth)を執筆。
パット・ブラゥディ(Pat BROUDY)
「原爆帰還兵全国協会」(National Association of Atomic Veterans)および「原爆遺族全国協会」(National Association of Atomic Survivors)の法務部長(legislative director)。軍隊で3回も被爆した夫が1977年にリンパ症で死んだ後、放射線被害者団体の設立を援助した。現在の「湾岸戦争症候群および放射線の人体効果に関する大統領諮問委員会」(Presidential Advisory Committee on Gulf War Illnesses and Human Radiation Exposure)を含めて、連邦議会の委員会で20回も証言した。
ヘレン・カルディコット(Helen CALDICOTT)
オーストラリアの医者で反核活動家。1980年代に世界的な規模で行われた核凍結運動の最も影響力のある指導者の一人。「社会的責任に応える医師の会」(Physicians for Social Responsibity)や「核兵器廃絶を求める女性の活動」(Women's Action for Nuclear Disarmament)の創立者。博士号をもち、1985年のノーベル賞候補。「核の狂気――もしあなたがこの地球を愛するなら」(Nuclear Madness, If You Love This Planet)と「ミサイルの嫉妬」( Missile Envy)の著者。
ジョン・カタリノット(John CATALINOTTO)
ニューヨーク市立大学の数学講師。1967年から1971年まで「アメリカ軍人組合」(American Servicemen's Union)の全国組織委員の一人。1992年に、アメリカの湾岸戦争犯罪を告発する国際戦争犯罪法廷をつくるのに支援した。1982年以来、週刊新聞「労働者の世界」(Workers World)の編集長。
ラムゼー・クラーク(Ramsey CLARK)
ジョンソン政権の司法長官。世界的に著名な弁護士であり、人権活動家としても名高い。湾岸戦争や対イラク制裁に反対する国際運動を起こすのに貢献した。世界的な危機に常に対処するために、1992年に「国際行動センター」(International Action Center,IAC)を設立した。ベトナム、グレナダ、パナマ、ニカラグア、リビアへのアメリカの軍事介入に反対してきた。
レオナード・A・ディーツ(Leonard A. DIETZ)
物理学者。1955年から1983年に、ジェネラル・エレクトロニクス社が原子力委員会(Atomic Energy Commision)のために経営したノール原子力研究所(Knolls Atomic Power Laboratory)に勤務した。ウランやプルトニウムその他の元素の高精密同位元素解析法を発明した。多くの科学雑誌に執筆し、アメリカ質量分析学会(American Society for Mass Spectrometry)の設立委員。
トッド・エンサイン(Tod ENSIGN)
弁護士。現役の兵士や退役軍人の権利を擁護する非営利の市民団体である「市民兵士(Citizen Soldier)」の会長。軍に関する本を2冊執筆し、1997年にシラキューズ大学出版会から刊行されたベトナム戦争に関する選集に収録された「ベトナムにおけるアメリカの戦争犯罪とアメリカ退役軍人(U.S. War Crimes in Vietnam and America's Veterans)」など、いくつかの書物に寄稿している。
ダン・ファーヒー(Dan FAHEY)
湾岸戦争症候群問題の活動家。湾岸地域における劣化ウランの使用状況について調査した退役軍人の権利擁護団体である「剣から鋤へ」(Swords to Plowshares)の理事(case manager)で、「湾岸戦争情報センター」(National Gulf War Resource Center)の理事。「軍事用毒物プロジェクトの劣化ウラン市民ネットワーク」(Military Toxics Project's Depleted Uranium Citizen's Network)の会員。「平和退役軍人会」(Veterans for Peace)の会員。カリフォルニア州サンタクルーズの「外国戦争退役軍人会ポスト5888」(Veterans of Foreign Wars' Post 5888)の指令官。
サラ・フランダース(Sara FLANDERS)
国際活動センターの執行委員(co-coordinator)。同センターの反制裁プロジェクトをつくり、1996年に『この子供達が死んでいく(The Children Are Dying)』という本を発行し、大量破壊兵器に等しい経済制裁を暴露して止めさせようとした。「国際戦争犯罪法廷(International War Crimes Tribunal)」をコーディネートし、アメリカ国内の30の都市と20カ国以上で公聴会を開催した。ボスニア、パナマ、ソマリアへのアメリカ軍の介入に反対する運動を組織した。
レノーラ・フォアステル(Lenora FOERSTEL)
1990年から「相互保証を求める女性の会・北米調整委員(North American Coordinator of Women for Mutual Security )」。「平和のための女性ストライキ会議(Women's Strike for Peace)」の委員。文化歴史学者で、マーガレット・ミードと共に南太平洋を中心にした地域の研究を行っている。多くの論文を執筆し、映画を制作した。最近、『過剰人口の創出――先住民に対する軍事・企業政策(Creating Surplus Population: The Effect of Military and Corporate Policies on Indigenous Peoples)』を編集刊行。
ジャイ・グールド(Jay M. GOULD)
低レベル放射線被曝の危険性を調査した「EPA科学諮問委員会(EPA Science Advisory Board)」の元委員。「死にいたる欺瞞――低レベル放射線の高レベルな隠閉工作(Deadly Deceit: Low Level Radiation, High Level Cover-Up)」、「住宅地における生活の質(The Quality of Life in Residential Neighborhoods )。最も新しいのは「内部の敵――原子炉の隣りは生きるのがむずかしい」(The Enemy Within - The High Cost of Living Near Nuclear Reactors)
シーグワルト=ホースト・ギュンター(Siegwart-Horst GUENTHER)
「オーストリア国際黄十字(Austrian Yellow Cross International)」の創立者で総裁。イラクの病人や飢餓に苦しんでいる人々の救済行動を数度にわたり組織した。バグダッド大学の伝染性疾患・伝染病学の教授であった。1993年に、使い残りの劣化ウラン弾をドイツに持ち込もうとして「原子力法」違反で、ベルリンの裁判所で罰金刑を受けた。
エリック・ホスキンス(Eric HOSKINS)
公衆衛生と伝染病の専門医。1990年より、イラクの子どもや女性に人道的援助を行い、湾岸危機の影響を記録してきた。湾岸戦争後、イラクでの健康と福祉に関するハーバード研究チームで医学的担当者として調査し、1993年に「子供と戦争と制裁(Children,War and Sanctions)」というユニセフ報告書を作成した。1991年に、カナダの最も権威のある人道賞である、レスター・B・ピアソン平和メダルを授与された。
ミチオ・カク(Michio KAKU)
著名な原子物理学者であり、作家であり、評論家。1977年からニューヨーク市立大学大学院(Graduate Center of City University of New York)の原子物理学の教授。70編以上の論文と9編の本を執筆。最近のベストセラーは『超空間(Hyperspace)』。水曜夜に全国パシフィカ・ラジオ番組に出演し、多くの聴取者を得ている。
スージー・T・ケーン(Suzy T. KANE)
「平和と自由のための女性国際連盟(Women's International League for Peace and Freedom, WILPF)」の会員。SANE/Freezeのニューヨーク州北東ウェストチェスター支部の前支部長。彼女が執筆した章は、近日発刊される本『ペルシャ湾岸戦争の隠れた歴史(The Hidden History of the Persian Gulf War)』から採った。
ドロレス・リムバーナー(Dolores LYMBURNER)
「軍事用毒物プロジェクト(Military Toxics Project)」の全国組織委員、「劣化ウラン市民ネットワーク(Depleted Uranium Citizens' Network)」の全国運営委員。この団体は、劣化ウランを最初に取り上げ、アメリカ国内の多くの製造施設や試験施設を浮き彫りにした。1986年より環境問題の運動を行っている。
[翻訳者紹介](五十音順)
石塚靖子(いしずか・やすこ)
「科学と平和国際週間・つくば委員会」会員
「市民平和訴訟の会・東京」会員
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所;主任研究官
専門:糖質の化学、理学博士
上林正巳(うえばやし・まさみ)
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所;主任研究官
専門:生物化学、理学修士
岡崎敏雄(おかざき・としお)
茨城県つくば市在住
専門:日本語教育学
大畑豊(おおはた・ゆたか)
市民平和訴訟の会・東京;運営委員
(有)梵我堂;代表取締役
「ピースブリゲード・インターナショナル」日本連絡員
「非暴力アクションネット」会員
小泉雅英(こいずみ・まさひで)
「市民平和訴訟の会・東京」運営委員
「アジア太平洋資料センター」会員
広告企業勤務
戸田賢二(とだ・けんじ)
「科学と平和国際週間つくば委員会」会員
通商産業省工業技術院電子技術総合研究所主任研究官
専門:計算機ハードウェア
野副達司(のぞえ・たつし)
「市民平和訴訟の会・東京」運営委員
恵泉女学園高校、物理科学担当
日本友和会(FOR/J:Fellowship of Reconciliation/JAPAN)国際渉外担当理事
野村修身(のむら・おさみ)
「市民平和訴訟の会・東京」運営委員
「科学と平和国際週間・つくば委員会」会員
「グリーンピース・ジャパン」正会員
通商産業省工業技術院電子技術総合研究所主任研究官
鉄牛会参禅指導所代表
専門:エネルギー工学、工学博士
松崎早苗(まつざき・さなえ)
「科学と平和国際週間」世界事務所代表
「科学と平和国際週間・つくば委員会」世話人
通商産業省工業技術院物資工学工業技術研究所主任研究官
専門:環境化学
米田奈柄(よねだ・なえ)
「市民平和訴訟の会・東京」運営委員
総合電機メーカー研究所研究員
専門:半導体応用