ボスニア症候群で再度注目される湾岸戦争の影響

―英国BBC放送の報道内容を読むー

山崎久隆(劣化ウラン研究会運営委員)

 2000年20世紀最後のクリスマス、ヨーロッパはとてつもないプレゼントの前に、色を失った。
 20世紀が戦争と破壊の世紀だとしたら、ある意味ではこれほどふさわしいものはないのかもしれない。「正義の戦争」の意味するところを容赦なく見せつけた。

 1990年代、米ソ冷戦構造の崩壊に伴い、それまでの「東西勢力の代理戦争」といった性格とは全く異なる種類の戦争が勃発した。「文明の衝突」と形容されるもの、「民族対立」と称されるもの、その代表格が湾岸戦争とユーゴ内戦だった。
 そして双方に共通するのは、米軍を機軸とした軍事力による「正義の制裁」を発動したことだった。いずれも「劣化ウラン弾」という兵器が大量に使われた。
 この兵器の特長は様々あるが、軍事的観点から一点だけ指摘するならば、相手から攻撃を受けることなく、圧倒的火力をもって機甲部隊や強化目標を破壊できると言うことである。つまり、味方の損害を最小限にとどめ、相手に壊滅的打撃を与えることが可能となるのだ。湾岸戦争で死んだ米軍兵士の数は140名余り、うち、同士撃ちの犠牲となったのは32名。イラク軍兵士は10万人が死んだと言われている。圧倒的戦果と言えよう。全てではないが、そのうちのかなりの部分は劣化ウラン弾の威力と関係がある。

 戦後、湾岸戦争症候群と呼ばれる病が、帰還兵とその家族(子供)に多発し、劣化ウラン弾からの放射線に因果関係があるのではないかと疑われたが、ペンタゴンは調査報告書でそれを否定した。しかし一方では軍内部において取扱いに注意することを促す文書を配布した。
 劣化ウラン弾の圧倒的威力は、その後ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦(92〜95)コソボ紛争・ユーゴ空爆(99)でも「実証」された。前者では10800発、後者では31500発の劣化ウラン30ミリ機関砲弾が撃ち込まれた。

 2000年12月末、ヨーロッパのメディアは次々にイタリアからの報道を伝えはじめた。コソボ平和維持部隊(KFOR)に参加をした兵士の中に白血病で死亡する例が既に6例あるという。同様に、オランダでも2人が白血病で死亡、チェコで1人が白血病で死亡、ベルギー、ポルトガルでも死者が相次いでおり、フランス、ドイツでも白血病で治療中の元コソボ派遣兵士がいる。
 ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、トルコ、ベルギー、フィンランド、スウェーデン、ハンガリー、ブルガリアなどが調査を行うことを明らかにし、最初は渋っていた英国国防省も市民からの強い批判を受けて調査を行うことを明らかにした。
 現地調査の動きも広がった。ギリシャは4日、健康調査や放射線測定などを行う専門家チームをコソボ自治州の駐屯部隊に派遣。国連機関ではUNEP国連環境計画が調査を行っており、3月に報告がまとまる見通しとなっている。

<写真>コソボ西部クリナで放射能の測定をするKFORの部隊 写真:AP(CNNウェブページより)

 欧州連合(EU)のプロディ欧州委員長は1月4日に、  EUとして独自の調査を始める意向を示すとともに、イタリアのラジオに対して、「欧州委としてボスニア・ヘルツェゴビナやユーゴスラビア連邦とも連絡を取って調査を始めたい。劣化ウラン弾が少量とはいえ人体に影響を及ぼすのなら、こうした武器は廃絶されるべきだ。兵士だけでなく、住民の間での健康被害も確かめるべき」と語った。

 劣化ウラン兵器の廃絶の声は、欧州議会内でも多くの支持を得ている。フランス・ストラスブールで1月17日に開かれた欧州議会で、劣化ウラン弾の一時使用禁止を求める動議を賛成多数で採択した。

 この間のヨーロッパのメディアが劣化ウラン弾、ボスニア症候群や湾岸戦争症候群と、それに伴う健康被害などをどう取り上げたか、いくつか紹介する。
【筆者注:いずれの報道もBBCのインターネットサイトの英文原稿を参考としており、筆者が実際の放送を見聞きしたものではありません】

 2001年1月18日、英国BBC放送チャンネル4の番組から。 題は「劣化ウラン:次の世代」とつけられ、湾岸戦争症候群の兵士の子供を最後に紹介している。

 英国の湾岸戦争従軍兵士の中には、劣化ウラン兵器によって自らが被曝したため、自分の子供たちが病気にかかっているのではないかと心配している人たちがいる。
 なぜ心配しているのか、数人の従軍兵士がBBCラジオ4の環境番組「コスティング・ザ・アース」で語った。
 国防省は、劣化ウランは子供たちはもちろん、親にも何のリスクももたらさないと強く主張し続けている。しかし番組の中で、湾岸従軍兵士の子供たちに、高い割合で先天性疾患が現れているのではないかという懸念が聞こえてきた。
 インタビューを受けた一人、ケニー・ダンカンは、戦闘で破壊されたイラクの戦車を戦場から撤去するのに従事した陸軍兵士だ。

【警告はなかった】
 彼は番組の中で、「湾岸戦争中、誰もウランあるいは劣化ウランについて話さなかった。話を聞いた覚えのある者は一人もいない。警告が与えられなかったのは、確かだ。」といった。
 ケニーと彼の妻マンディの間の3人の子供たちは、1991年の戦争の後に生まれた。全員が健康上の問題を持って生まれ、それは現在も続いている。
「子供たちの症状は軍人の症状と同じ」と、マンディは言う。「腸疾患、慢性疲労とひどい喘息に苦しんでいて、治す方法がない。」
 今彼女は、夫には早期ガンの兆候があると思っている。夫のひざにはしこりがあるが、それが何であるか明らかになるまでにはあと9カ月はかかるだろう。
 「子供たちが大きくなる前に、夫は死んでしまうと思う。」と彼女は言う。「政府はどれだけの人生を破壊しているか、わかってない。彼らは知るべきだ。彼らは帰還兵士を殺し、兵士の家族たちも一緒に殺している。これは不当な行為だ。」
 ティム・パーブリックは湾岸戦争で戦車長だった。彼の戦車は支給された劣化ウラン弾丸は使用しなかったが、パンや他の糧食をその上に置いていた。
「弾丸を貯蔵したり、発射する際の危険性について何の警告も与えられなかった。」と彼は言う。

【「少し危険」】
 「戦争の後、サウジアラビアの英国陸軍補給部隊駐屯地で、劣化ウラン弾を戦車から下ろした。そこの軍人は皆、NBC(核、生物化学戦)防護服を身につけていた。ここで何が起こっているのかと聞くと、彼らは「知らなかったのか? この弾丸は少し危険なんだ。」と答えた。」

 パーブリック氏は今も健康だ。しかし彼の息子は去年、左手の指がない状態で生まれた。親指には関節がない。
「時が来て、息子がなぜ自分の片方の手の指が無いかを尋ねたら、私は、私の湾岸での軍務に対して、息子が対価を支払っているのではないかという疑いを、拭い去ることはできないだろう。」
「軍医と話した時、彼は私に、「病院では、早いうちから湾岸戦争帰還兵の子供たちに、サリドマイド型の異常が多く発生していたことがわかっている。」と言った。」

【「大規模な影響はなし」】
 国防省は、劣化ウランが帰還兵自身に重大なリスクを与えているという証拠はまだないと主張する。そして劣化ウランが、彼らの子供たちに先天性欠陥を作り出さないということを保証できていないのに、大規模な影響を与える証拠はないと言う。
 ケニー・ダンカンは国防省が「帰還兵が死ぬのをのんびり見過ごしている」と言う。
「彼らは我々が死に絶えるのを待っている、それで彼らは金を支払う必要がなくなる。まさしく我々に何も話さず、そして全てを否定するであろう。バルカンの若干数が病気になり始めているけれども、彼らは帰還兵の健康を気にかけない。そしてまだ問題ではないと言う。」

 まさに「湾岸から始まった」のである。劣化ウラン弾が大規模に使われた、史上初めての戦闘(史上初めて使われた戦闘がどこで、誰によってであったか今はまだ不明である。米軍ではなくイスラエルである可能性が高くなっている。しかし市民をも含め大量被曝を引き起こす戦闘というならば湾岸戦争をおいてない)。
 しからば、その兵器によりもっとも重大な影響を受けるのは誰か、議論の余地無く、その戦場跡あるいはその近郊に住み続ける市民である。

<写真>爆撃を受けたバグダッドの居住地区1991年 写真:AP(BBC ウェブページより)

 BBCはイラクの市民の現状を1月15日に報道した。題は「劣化ウラン弾に対するイラクの警告」である。

 湾岸戦争から10年、イラクは西欧諸国がその汚された戦場に注意を払い始めることを希望している。
 バルカンでNATO軍により使われた劣化ウラン弾に関する論争は、同じくイラクで拡大している健康上の問題を強調した。同様の兵器がクウェートからイラクに進軍した米国主導の連合軍によって使われた。クウェート境界近くのイラク南部のバスラ市では、人々はガンと先天性疾患の劇的な上昇で苦しんでいる。
 「我々は、1991の侵略の前に、まったくガンにかかっていなかった、そして増加は侵略のすぐ後に、劣化ウラン使用の後に起きた。」と、バスラ癌病院で働くジャワド博士は語る。ガンの発生率は湾岸戦争後に9倍に増加したと言う。

【病気】
 以前にはイラクでは見られなかった先天性疾患も同様であり、そして他の病気も放射線被曝との関連がある。
 湾岸戦争は劣化ウラン兵器が軍事衝突で使われた最初だった。劣化ウラン銃弾は安く、そして事実上どんな装甲にでも穴をあけることができる。連合軍は一定の時期の間に、少なくとも300トンを発砲し、戦場に放射性物質で汚染された残骸を散乱させた。
 米国はガンとはいかなる関連も無いと否定したが、しかし今バグダッドは、バルカン論争によって、最終的な公聴会が行われるかもしれないと感じている。

【イラクの要求】
 全ての病気の原因を劣化ウランに求めるのは難しい。戦場は危険な汚染物でいっぱいの有毒なスープのようなものだった。
 イラクはまだ国連に対し、化学・生物兵器製造の疑いについて説明しなければならない。しかし今やイラクの要求により、立場は逆転している。
 Sami al Arag 博士は、戦争による影響を調査している政府委員会の科学者だが、イラクが補償を受ける権利を有していると信じている。
 「イラクにこの損傷を起こした人々は罰せられるべきである」と、彼は言う。
「何年もの間、我々は訴え続けてきたが、彼らはこれがイラクの宣伝であると主張する。今、イタリア、フランス、ベルギー、ハンガリーなどが劣化ウランの影響について話しているが、彼らはまた同じように答えるのか、これがイラクの宣伝であると?」
 バスラ市民は、湾岸戦争の戦場から70キロ離れたところに住んでおり、汚染された地域の近くで栽培された野菜を買っている。彼らが吸い込む空気や飲み水は、放射性微粉で汚染されているかもしれない。
 世界保健機構は今、劣化ウランによって被曝した住民のリスク評価の研究を計画している。
 ジャワド博士は彼の患者の治療を続けているが、一方で彼はまた彼自身の安全についても考えている。
「もちろん私も、私や私の家族、私の子供たちの健康を心配している。バスラの他の人たちと同じ様にね。でも誰も免れられない、誰も」と彼は言う。バスラの人々はなぜ病気になっているのか、それは止めることができるのかどうか知りたがっている。
 もし犯人が劣化ウランであるなら、彼らに望みはないだろう。どんな除去作業も非常に長い時間と多くの費用がかかるのだ。

 劣化ウラン弾による健康被害が、広島長崎の研究などからみても、規模が大きく時間が早すぎるという批判がある。確かにウランによる放射線被曝を考えれば、その線量と、言われている健康被害の間に大きな乖離があると感じられる。しかしそれに対して二つの回答が寄せられた。一つは劣化ウランの放射線被曝が想定されてきたよりも大きな影響を与えうるという考え方である。

 BBCは1月16日にその内容を放送した。題は「劣化ウランからの放射線が「急速に行動をすることができる」」というものだった。

 劣化ウランが重大な健康障害の原因であるはずがないと論ずる人たちの多くは、放射線によりガンになるには長い時間がかかると言う。
 彼らはボスニアとコソボ戦争の帰還兵士が訴える白血病や他のガンの報告は、放射線によって損傷が引き起こされる時間と一致しないと言う。そして、1991年の湾岸戦争以降増加している、帰還兵やイラク市民のガンを、そんなに早く発症するはずがないと考えている。
 しかしBBCニュースオンラインに語った2人の科学者は、劣化ウランを原因から除外することは、大きな間違いかもしれないという。劣化ウランが実際に健康を害するかどうか、二人とも断言はしないが、劣化ウランの影響に関する理解は、不十分だと信じている。

【チェルノブイリの驚き】
 大学物理学科の教授の一人が言った。「我々は未知の領域に直面している。人間が劣化ウランで被曝するという経験がなかったからだ。」
「しかし1986年のチェルノブイリ事故の後、甲状腺ガンが予想よりはるかに早く現われたことを知っている。これには本当に驚いた。」
「劣化ウランが強い放射性物質ではないことは事実だ。しかしそれを吸い込めば、肺を取り巻くリンパ節に入り、節を通過する全ての血球を照射するかもしれない。」
「多くの専門家が、劣化ウランは放射性毒性よりも化学毒性の方が脅威であると言う。私も化学毒性は問題であると思う。ウラン原子には化学毒性があり、それは体のすべての細胞に入り込み影響を与えるかもしれない。」
「また、かなりの線量の劣化ウランを、(劣化ウランが使用された)直後に吸い込むことは、十分考えられる。劣化ウランは、噴霧化し、非常に細かい粉末状になれば、かなりの距離を飛んで行くだろう。」

【速く限度に達する】
 「人体のウラン許容量は80ミリグラムである。もし最大200ナノメートルの大きさの劣化ウラン粒子が、1立方センチメートルにつき10000個ある環境にいるとしたら、約1カ月半で摂取限界に達する。」
「よくあることではないが、しかし、絶対に有り得ないことでもないだろう。」
 もう一人の科学者は、電離放射線の影響の専門家だ。
 彼がBBCに対して、「NATOと英国国防省が見落としているものは、1つのアルファ放射体が発ガン性であり得るという事実である。我々は劣化ウランのリスクがどれぐらい低いか知らない。しかしウランはその化学特性のため、DNAを損傷させる原因になりうるので、ガンを引き起こす可能性はある。」と語った。
 「これはコソボについては説得力を持たないかもしれないが、湾岸戦争については、可能性として考えられる。2年でガンを発症した理由の、これは妥当な仮説だ。」
 「チェルノブイリから我々への警告は、日本の原子爆弾生存者に、あらゆるタイプの放射線障害を見出すことはできないということだ。放射線がガンを引き起こすのに、2年では不十分だと、あまりにも軽く言うべきでない。」

 もう一つの問題は、劣化ウランに従来考えられていた天然ウラン由来以外に再処理由来のものもあることだ。言うまでもなく、再処理ウランのほうがはるかに放射線量率が高くなる。

 BBCは1月16日にこの問題を取り上げた。題は「コソボ劣化ウランはリサイクルウランを含む」だった。

 国連による試験結果速報によれば、コソボで発見された劣化ウラン破片に、ごく微量の、ウランを再処理したものが含まれていることが確認された。
 再処理ウランの放射能は劣化ウランのものより高い。この発見により米国がコソボ、ボスニアで、米国と英国が湾岸戦争で使用した劣化ウラン武器の純度について、新たな疑問が生じている。
 双方の紛争帰還兵の多くは、劣化ウランにより健康への影響を受けたとして、米国と英国政府そしてNATOに抗議を行ったが、拒絶されている。
 国際連合環境計画(UNEP)のチームが1月はじめにコソボを訪れ、11カ所のうち8カ所で劣化ウラン弾の残骸を発見したことを報告した。

【毒性試験】
 UNEPの調査では、兵器、土壌、水、植物あわせて340サンプルが集められた。サンプルは今、5つのヨーロッパの試験所で毒性と放射性の両方について分析されている。
 UNEP 速報は、1999年にNATOに標的にされた場所で発見されたもののうち、7つの劣化ウラン弾頭−装甲車を貫通できるよう劣化ウランを取り付けた弾頭−に、ウラン236(U-236)が含まれていることを確認した。UNEP高官は、U-236の存在は劣化ウラン弾の一部が再処理ウランに由来することを示していると語る。この情報は劣化ウラン分析研究をUNEPにより依頼された5つの試験所の1つからもたらされた。

【結果を待つ】
 試験所によれば、劣化ウランのU-236の比率は非常に小さいので、放射性毒性はU-236の無い劣化ウランと比較してもほとんど変わらないという。しかしUNEPによる最終の評価は、全ての試験所からの結果が明らかになってからなされる。
 UNEPの責任者、クラウス・テプファー博士は、世界保健機構と環境計画の他のパートナー全てに再処理ウラン発見に対する評価を求めたと語った。

【コソボ土壌の試験】
 同位体分析では弾頭に用いられたウランの、0.0028%がU-236であった。
 UNEPの劣化ウランアセスメントチームのリーダーは、前フィンランド環境大臣ペッカ・ハーヴィスト である。BBCに対し、「量は非常に小さい。私の理解ではこれは原子炉にあったウランであり、その後、核廃棄物になるか、再処理されるはずだったものだ。」と彼は言う。弾頭に含まれていた核廃棄物は極少量だった。

【ダストサンプル】
 ハーヴィスト氏は言う、「(U-236が見つかったことで、)我々の関心はいくらか大きくなった。調査の際には異なる見方が必要となり、今後も注視していかなければならない。我々は他の4つの試験所に非常に慎重に残存物の同位体組成を分析するように依頼した。」
 また彼は、ダストサンプルが同じく兵器のあった場所の周囲から集められていて、そして同様にU-236の分析が行われるであろうと語った。
 去年米国エネルギー省は初期劣化ウラン実験弾丸がほぼ確実に再処理ウランを含んでいたことを確認した。同様に「プルトニウムの極微量」が米国民生用原子力発電所の若干の劣化ウラン備蓄に含まれるかもしれないことも認めた。

<写真>採取したサンプルをテストする 写真:AP(CNNウェブページより)

WAISの分析
 フランスの市民団体ワイズは、1月28日に米国エネルギー省のデータを元にして、再処理ウラン含有による影響評価を行っている。その「WISEウラニウムプロジェクト ファクトシート」によれば、再処理ウランに含まれる超ウラン元素、ネプツニウムやプルトニウムは、ほとんど劣化ウラン弾には移行せず、健康や環境への影響は少ないだろうと分析されている。
しかしゼロではないことも示している。
ウラン236が存在していると言うことは、プルトニウム239などの超ウラン元素が劣化ウラン弾の燃焼と共に環境中にぶちまけられていることを意味している。
 仮にトータルとしての影響が極微量としても、微粉末となって飛び散った一つ一つのプルトニウムなどの影響を追うことは不可能である。
 別の言い方をするならば、エネルギー省の推計が正しいと仮定しても、どこかで誰かがプルトニウムの微粉で白血病になったとしても立証不可能であるし、誰も白血病になどならないと保障もできないことを意味する。
 大気圏核実験で核兵器から放出されたプルトニウムは、全世界で毎年数万人をガン死させているという推計もある。エネルギー省によるプルトニウム放出推計が過小評価であれば、当然事態はもっと悪化することは言うまでもない。


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