政府「劣化ウランは核燃料物質」と答弁
8月26日付の沖縄タイムスによると、政府は照屋寛徳参院議員が提出した、米軍劣化ウラン弾の薬きょう流出に関する質問主意書に対して答弁し、その中で、地位協定三条を見直す考えはないことを明らかにした。薬きょうの流出ルートは明らかにされていない。
日本政府は三条を改定しない理由として(1)日米安保条約達成のため米軍が施設・区域の設定、運営など必要なすべての措置をとることは当然、(2)可能な限り関係地方自治体からの要請にこたえるべく配慮されている−としている。
照屋氏は「米軍が機嫌しだいで立ち入りを認めるのでなく、環境調査のため自治体による基地内立ち入り調査権を確立すべきだ」と主張。 また、政府の「劣化ウランは核燃料物質に該当する」という答弁に対しては、「国内に持ち込まれ使用されたのなら、非核三原則に反しないのかどうか、再度、質問したい」と語った。
沖縄県は、米軍施設への立ち入りなどを規定した日米地位協定三条の見直し案を、日米両政府に要請する予定。
劣化ウラン200トン 化学メーカー4工場に眠る
8月27日付けの日本経済新聞によると、1960年代後半から70年代前半にかけ、化学メーカーで触媒として用いられた劣化ウラン約200トンが、今も国内の大手4社の敷地内に、貯蔵されたままになっているという。
劣化ウランは、原子炉等規正法に基づき厳重に管理されており、国際原子力機関(IAEA)の査察も受けている。これまでに放射能漏れなどの事故は起きていない。
約68.8トンを貯蔵している住友化学工業は、「工場内に占める管理区域はごくわずかで、保管状況のチェック費用も年間数万円から数十万円程度」というが、「核燃料物質なだけに、早く処分したい」と、三井化学(約71.1トン)、昭和電工(約44.5トン)、旭化成工業(約8.5トン)とともに口をそろえる。
国の原子力委員会は今年3月、ようやく触媒用劣化ウランの処分方法の検討に入り、年内には基本方針をまとめたいとしているが、処分を始める時期のめどはたっていない。
現在、官民合同の協議会を作り、資金や処分場確保策などを検討しているものの、メーカー側からは、「処分コストが現在の保管コストを上回るようでは意味がない」との声も出ている。