最高裁 判決骨子


平成八年(行ツ)第九〇号 地方自治法一五一条の二第三項の規定に基づく職務執
行命令裁判請求事件

           判 決 理 由 骨 子
一 駐留軍用地特措法三条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される
場合における土地収用法三六条五項所定の署名等代行事務は、都道府県知事の権限
に属する国の機関委任事務に該当し、その主務大臣は、内閣総理大臣である。
二 職務執行命令訴訟においては、下命者である主務大臣の判断の優越性を前提に
都道府県知事が職務執行命令に拘束されるか否かを判断すべきものと解するのは相
当でなく、主務大臣が発した職務執行命令がその適法要件を充足しているか否かを
客観的に審理判断すべきものと解するのが相当である。
三 駐留軍用地特措法は、憲法前文、九条、一三条、二九条三項に違反しない。
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四 沖縄県において駐留軍用地特措法を適用することが憲法前文、九条、一三条、
一四条、二九条三項、九二条に違反するということはできず、憲法九五条違反の主
張は、その前提を欠く。
五 使用認定にこれを当然に無効とするような瑕疵があるか否かについては、本件
訴訟において審理判断を要するものと解するのが相当であるが、本件各土地の使用
認定に右のような瑕疵があるとは認められない。
六 上告人に対する署名等の代行の申請及び本件調書の作成に違法の点はない。
七 上告人の署名等代行事務の執行の懈怠を放置することにより、著しく公益が害
されることが明らかである。


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