公告縦覧拒否訴訟(11施設)
被告(沖縄県) 答 弁 書
平成八年(行ケ)第二号
職務執行命令裁判請求事件
答 弁 書
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平成八年(行ケ)第二号
職務執行命令裁判請求事件
原 告 内 閣 総 理 大 臣
橋 本 龍 太 郎
被 告 沖 縄 県 知 事
大 田 昌 秀
答 弁 書
一九九六年八月三〇日
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右被告訴訟代理人
弁護士 中 野 清 光
同 池宮城 紀 夫
同 新 垣 勉
同 大 城 純 市
同 加 藤 裕
同 金 城 睦
同 島 袋 秀 勝
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同 仲 山 忠 克
同 前 田 朝 福
同 松 永 和 宏
同 宮 國 英 男
同 榎 本 信 行
同 鎌 形 寛 之
同 佐 井 孝 和
同 中 野 新
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同 宮 里 邦 雄
右被告指定代理人 又 吉 辰 雄
同 粟 国 正 昭
同 宮 城 悦二郎
同 大 浜 高 伸
同 垣 花 忠 芳
同 山 田 義 人
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同 比 嘉 博
同 兼 島 規
同 比 嘉 靖
同 謝 花 喜一郎
福岡高等裁判所那覇支部 御中
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答 弁 書
被告沖縄県知事(以下「被告」という。)は、訴状に対し次のとおり答弁する。
本 案 前 の 答 弁
第一 本案前の申立
一 原告の請求を却下する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
第二 本案前の申立の理由
本件公告縦覧の手続に関する事務の主務大臣は建設大臣である。
一 原告は、本件公告縦覧の手続は総理府が所掌する事務であるから、地方自治
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法一五〇条及び一五一条の二にいう「主務大臣」は内閣総理大臣であると主張
する。しかし、同主張は、以下に述べるとおり失当である。
駐留軍用地特措法四条は、「防衛施設局長は、この法律により土地等を使用
し、又は収用しようとするときは、・・・使用認定申請書又は収用認定申請書
を防衛施設庁長官及び防衛庁長官を通じて内閣総理大臣に提出し、その認定を
受けなければならない。」と規定する。したがって、防衛施設局長が起業者と
して行う米軍用地の強制使用認定申請は、防衛施設局長の事務である。同法一
四条が「『防衛施設局長』を『起業者』と、『土地等の使用又は収用の認定』
を『事業の認定』と・・・みなして、土地収用法の規定・・・を適用する。」
と規定していることから、このことは明らかである。
防衛庁設置法五条二五号は「駐留軍の使用に供する施設及び区域の決定、取
得及び提供に関すること」を、防衛庁の所掌する事務とし、同法四二条は「防
衛施設庁は、第五条・・・第一五号から第四〇号までに掲げる事務をつかさど
る」と定める。
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したがって、防衛施設局長が起業者として駐留軍用地特措法に基づき強制使
用権取得のために行う「事業の準備」、「認定申請事務」、「補償金支払事務」
等は駐留軍用地特措法により防衛施設局長の所掌事務となり、強制使用認定手
続の前提となる提供する施設及び区域の「決定」、「取得」、使用権取得後の
「提供」事務は、防衛庁、防衛施設庁の所掌事務となる。
原告は、訴状及び第一準備書面において、公告縦覧の手続の事務が、防衛庁、
防衛施設庁の所掌する事務である理由として、防衛庁設置法五条二五号、六条
一四号、四二条及び四三条を挙げる。しかし、右各条項は、提供する施設及び
区域の「取得」及び「提供」事務を防衛庁、防衛施設庁の所掌事務とし、又は
その権限に属するものと規定しているだけであって、駐留軍用地特措法及び土
地収用法に基づく公告縦覧の手続の事務を防衛庁、防衛施設庁の所掌事務とす
るものではないのであるから、これらの条項が根拠規定となるのではない。
二 駐留軍用地特措法は、前述のように、防衛施設局長が起業者として駐留軍用
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地特措法に基づき強制使用権取得のために行う諸事務を、「防衛施設局長」の
所掌する事務と定め、強制使用認定事務を「内閣総理大臣」の所掌事務と規定
するだけであり、土地収用法が定めるその他の事務を防衛施設局長の事務とし
たり、又防衛庁、防衛施設庁の事務と規定するものではない。
駐留軍用地特措法により適用される土地収用法の事務は、駐留軍用地特措法
に特別の定めがある場合を除いて、土地収用法の解釈に基づきその所掌が決め
られるべきである。
駐留軍用地特措法により適用される土地収用法四二条の公告縦覧の手続の趣
旨は、土地所有者、関係人及び準関係人に対して同法四三条の規定による意見
書提出の機会を付与すること、隠れた権利者を発見すること、土地所有者等に
裁決手続開始登記による処分制限をかけるに当たって事前通告をすることにあ
るが、それは土地所有者又は関係人の財産権確保、適正手続の保障をその目的
とするものであり、収用高権の発動としての強制使用認定事務とはその性質を
異にし、むしろ強制使用認定事務と対局に位置する性質のものである。
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したがって、強制使用認定事務が総理大臣の所掌事務とされていることを理
由に、公告縦覧の手続事務を総理大臣(又は総理府)の所掌事務とするのは相
当でない。土地収用法の原則に戻って建設大臣(又は建設省)の所掌事務と解
するのが、公告縦覧手続の制度を置いた法の趣旨(収用高権の発動主体と財産
権保障主体の同一帰属の回避)に最も合致するのである。
三 このように公告縦覧手続の事務を所掌するのは建設省であるから、その長た
る建設大臣が地方自治法一五〇条及び一五一条の二、一項にいう「主務大臣」
となるのである。
したがって、建設大臣が原告となって本件訴えを起こすべきものであるとこ
ろ、本件訴えは、総理府の長としての内閣総理大臣が原告となって提起したも
のであるから、訴えそのものがそもそも不適法なものといわざるを得ない。
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本 案 の 答 弁
第一 請求の趣旨に対する答弁
一 原告の請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
第二 請求の原因に対する答弁
一 請求原因一について
1 1のうち、「国は、・・・合意することができなかった。」の部分は不知、
その余は否認する。
2 2のうち、官報に公告があったことは認め、その余は不知。
二 請求原因二ないし五及び七は認める。
三 請求原因六は争う。
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四 請求原因八について
1 1は否認ないし争う。
2 2のうち、「被告が、この措置要求に従う見込みはない。」の部分は認め、
その余は争う。
3 3のうち、「裁決申請に関する公告縦覧の手続は、・・・可能性を奪われる
ことになる。」の部分は認める。その余は不知ないし争う。
4 4は認める。
五 請求原因九は認める。
六 請求原因一〇は争う。
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