平成八年(行ケ)第一号 職務執行命令裁判請求事件
原 告 内 閣 総 理 大 臣
橋 本 龍 太 郎
被 告 沖 縄 県 知 事
大 田 昌 秀
一九九六年七月二九日
右被告訴訟代理人弁護士 中 野 清 光
外一五名
福岡高等裁判所那覇支部 御中
証 拠 申 出 書
被告はその主張事実を立証するため、左記の通り証拠の申出をする。
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記
第一、検証の申出
一、証すべき事実
訴状別紙目録記載の土地(以下、本件土地という。)の位置、使用状況
を明らかにし、もって、本件土地を米軍用地に提供しなくても基地機能に
ほとんど影響はなく、地方自治法一五一条の二でいう「著しく公益を害す
ることが明らかであるとき」に該当しないこと、本件土地の提供が駐留軍
用地特措法三条の要件を充足していないこと等を各立証する。
二、検証の目的物
三辺通信所内の本件土地
三、検証によって明らかにしようとする事項
1、本件土地の位置、形状
2、本件土地の米軍用地としての使用状況
第二、人証の申出
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一、人証の表示及び証すべき事実
宜野湾市宜野湾二七六番地二 沖縄国際大学内
1、証 人 石 原 昌 家
(呼出、尋聞予定時間九〇分)
(証すべき事実)
証人は、沖縄国際大学教授で、沖縄戦につき長年にわたって調査研究
してきた者である。
沖縄戦の経緯、沖縄戦における住民犠牲の特徴と実態、軍部の沖縄戦
の方針等を明らかにし、住民を犠牲にする軍隊、戦争の本質等を立証す
る。
那覇市国場七四七番地 沖縄大学内
2、証 人 新 崎 盛 暉
(呼出、尋聞予定時間九〇分)
(証すべき事実)
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証人は沖縄大学教授で、沖縄戦後史について深く研究している者であ
る。沖縄戦における米軍上陸から対日平和条約発効までの米軍の沖縄占
領政策と基地形成過程、対日平和条約発効から沖縄返還までの米軍の土
地強制収用の法制と強制収用の実態、沖縄返還の経緯、沖縄返還後の反
戦地主切り崩しの実態、沖縄返還後の土地強制収用法制の不当性を明ら
かにし、在沖米軍基地が、沖縄県民の意思と人権を制圧し、違法に形成
されたものであることを立証する。
那覇市泉崎一丁目二番二号 沖縄県庁内
3、証 人 又 吉 辰 雄
(同行、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は沖縄県の政策調整監で県の政策全般の調整役である。
同証人により、米軍基地の七五パーセントが沖縄に集中していること
によって県及び自治体の振興開発計面に重大な障害になっている事実、
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県の政府及び米困や米軍に対する基地画題の交汐経過、基地の整理縮小
こそ公益である事実等を立証する。
那覇市泉崎一丁目一番一号 那覇市役所内
4、証 人 親 泊 康 靖
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は、那覇市の市長で、立会・署名及び公告縦覧を拒否した者であ
る。
那覇港湾施設の存在が具体的に那覇市民の平和に生きる権利を侵害し
、生活、財産権、環境、福祉等を著しく害していること、立会・署名及
び公告縦覧をすることが地方自治体の長の職責に反すること、那覇市は
右施設の返還に備えて跡利用計面を策定し、その早期返還を求めている
ことを立証する。
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沖縄市仲宗根町二六番一号 沖縄市役所内
5、証 人 新 州 秀 清
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は、沖縄市の市長である。
嘉手納弾薬庫、キャンプ・シールズ、嘉手納飛行場の存在が具体的に
沖縄市民の平和に生きる権利を侵害し、生活、財産権、環境、福祉等を
著しく害していること、立会・署名及び公告縦覧をすることが地方自治
体の長の職責に反すること、沖縄市は右施設の返還に備えて跡利用計面
を策定し、その早期返還を求めていることを立証する。
宜野清市野嵩一丁目一番一号 宜野湾市役所内
6、証 人 桃 原 正 賢
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
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証人は普天間飛行場が所在する宜野湾市の市長である。
普天間飛行場の存在が具体的に宜野湾市民の平和に生きる権利し、生
活、財産権、環境、福祉等を著しく害していること、宜野湾市は布施設
の早期返還を求めていることを立証する。
読谷村字波平三七番地 読谷村役場内
7、証 人 山 内 徳 信
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は、訴状別紙目録記載の土地が所在する読谷村の村長で、 立会・
署名及び公告縦覧を拒否したものである。
瀬名波通信施設、嘉手綱弾薬庫地区、楚辺通信所、トリイ通信施設の
存在が具体的に読谷村民の平和に生きる権利を侵害し、生活、財産権、
環境、福祉等を著しく害していること、立会・署名及び公告縦覧をする
ことが地方自治体の長の職責に反すること、読谷村は右施設の返還に備
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えて跡利用計面を策定し、その早期返還を求めていることを立証する。
金武町字伊芸九七二番地
8、証 人 安 富 祖 栓
(呼出、尋問予定時間一時間)
(証すべき事実)
駐留米軍は県道一〇四号線越えの実弾砲撃演習をたびたび行っている
が、証人はその着弾地に近接する金武町伊芸区の区長である。
米軍による県道一〇四号線越えの実弾砲撃演習が、金武町伊芸区民の
生命身体に危険を及ぼして平和に生きる権利を侵害し、生活、環境を著
しく害していることを立証する。
北中城村字喜舎場一三一番地
9、証 人 大 屋 三 千 代
(呼出、尋問予定時間一時間)
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(証すべき事実)
証人は、普天間基地に隣接した普天間第二小学校の教師である。
米軍基地から発生する飛行機の騒音等によって、教育環境が著しく侵
害されている事実を立証する。
恩納付字前兼久五四番地
10、証 人 山 本 隆 司
(呼出、尋問予定時間一時間)
(証すべき事実)
証人は、嘉手納小学校の教師である。
嘉手納小学校は米軍嘉手納基地から発生する飛行機騒音等によって教
育環境が著しく侵害され、児童生徒らが被害を受けている事実を立証す
る。
那覇市久茂地三丁目二九番四一号
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11、証 人 高 里 鈴 代
(呼出、尋問予定時間一時間)
(証すべき事実)
証人は、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」の中心メンバ
ーで、米国人らによるレイプ、売春などの具体的ケースの相談にのった
り、女性の人権抑圧に反対する等、長年運動してきた者である。
米軍による沖縄占領後今日まで米軍基地が存在することによって、婦
女子らがレイプあるいは売春を強制される等、女性の人権が侵害されて
いる事実を立証する。
神奈川具横浜市戸塚区上倉田一五一八番地
12、証 人 浅 井 基 文
(呼出、尋問予定時間三時間)
(証すべき事実)
証人は元外交官で、現在明治学院大学教授である。証人は国際政治、
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国際関係に造詣が深い。
証人によって、安保体制堅持論・安保公益論が時代おくれであり、国
際政治・国際関係において見直されるべきであること、しかるに、日米
両国は「安保再定義」により、より危険な方向、沖縄基地の固定化の方
向にいきつつあることを立証する。
埼玉県上福岡市富士見台一五番一五号
13、証 人 前 田 哲 男
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は東京国際大学教授でありジャーナリストでもあって、日米安保
条約、及びその下における沖縄基地の問題について造詣が深い。証人に
よって米軍の世界戦略と安保体制下における日本とくに沖縄基地の機能
と動向、及びそれが安保条約の枠をはみだし、憲法はもちろん安保条約
にも違反している事実を立証する。
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14、浦添市当山三七六番地の二
証 人 保 坂 展 志
(呼出、尋問予定時間一時間)
(証すべき事実)
証人は琉球大学文学部数授であり、社会学のなかでも世論研究を専攻
し、とりわけ沖縄の近代及び現代の世論研究について造詣が深い。
証人によって、復帰後における沖縄住民の意識の変容、とくに米軍基
地に関わる県民意識の実態・変容を明らかにし、沖縄における米軍基地
に対する県民世論の実態を立証する。
読谷村字波平一七四番地
15、証 人 知 花 昌 一
(呼出、尋問予定時間一時間)
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(証すべき事実)
証人は、訴状別紙目録楚辺通信所記載の土地の所有者で、土地調書へ
の立会・署名に応じていない者である。
右土地の基地としての利用状況、米軍用地への提供のための新たな土
地賃貸借契約を拒否するに至った理由、土地調書への立会・署名に備え
ての右土地内立入確認要求を防衛施設局から拒否された事実、本年三月
三一日に国と土地賃貸借期間が満了し、同日の経過をもって国の本件土
地に対する占有権属が失われたにもかかわらず、国は本件土地を証人に
返還することなく違法に占有を継続していること、本件土地の明け渡し
を求めて仮処分申請をして二回にわたって本件土地に立ち入ったこと、
その後本件土地の明け渡しを求めて本案訴訟を提起したこと等を立証す
る。
神奈川県横浜市青葉区みたけ台六ー二
16、証 人 西 沢 優
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(呼出、尋問予定時間九〇分)
(証すべき事実)
証人は、軍事評論家で、楚辺通信所に設置されているウレン・ウエー
バー・アンテナ配列について研究している者である。
同証人によって、楚辺通信所の機能・役割、及び本件土地を強制使用
せずに地主に返還したとしても楚辺通信所の基地機能・役割に支障が生
しないことを立証する。
東京都日野市南平九丁自一五番八号
17、証 人 辻 山 幸 宣
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は、中央大学法学部教授で地方自治及び機関委任事務制度につい
て研究している者である。
同証人によって、被告知事が立会・署名及び公告縦覧に応じなかった
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ことが、機関委任事務制度との関連においても正当なものであることを
立証する。
那覇市久米一丁目五番一六号 那覇防衛施設局内
18、証 人 小 浜 貞 勝
(呼出、尋問予定時間二時間)
(証すべき事実)
証人は前那覇防衛施設局長である。
本件土地及びその土地が存在する各施設の提供合意の有無及びその内
容、本件土地を強制使用することがその「必要性」もなく、「適正かつ
合理的」でもなく、ひいては被告が公告縦覧の代行に応じないことが「
著しく公益を害することが明らか」ではないこと、本件土地の強制使用
手続きの経過に瑕疵が存すること、なかんずく土地所有者等に対する土
地・物件調書作成への立会・署名の機会を十分に与えなかったこと、前
手続きの瑕疵が公告縦覧にも引き継がれること等。
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二、尋問事項
別紙各尋問事項書のとおり