代理署名拒否訴訟
文書送付嘱託申立に対する意見書(原告=国)
平成七年(行ケ)第三号
職務執行命令裁判請求事件
原 告 内 閣 総 理 大 臣
被 告 沖 縄 県 知 事
文書送付嘱託申立に対する意見書
平成八年二月一九日
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右指定代理人
川 勝 隆 之
松 谷 佳 樹
富 田 善 範
浦 田 重 男
林 督
内 田 孝
福岡高等裁判所那覇支部 御中
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原告は、被告の一九九六年二月九日付け文書送付嘱託の申立書(以下「申立書」
という。)に対し、左記のとおり意見を述べる。
記
一 申立書一1記載の文書について
被告は、右文書により、在沖縄駐留軍の施設及び区域の提供並びにその使用
条件を明らかにし、もって、右施設及び区域の使用が県民生活に重大な影響を
及ぼすものであることを立証するとしている。しかし、地方自治法一五一条の
二第一項の「公益侵害の要件」に関する原告の判断が高度に政治的な裁量にゆ
だねられたものであり、かつ、右要件の存否に関する裁判所の審査は本件使用
認定が駐留軍用地特措法三条、五条の要件を充足していることを前提としてさ
れなけれぱならないから、被告の主張する施設及び区域の使用による県民生活
への影響の点は、右裁量権の逸脱、濫用の事由とするに足りないことは、原告
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第二準備書面で述べたとおりである。したがって、右文書は、本件訴訟の審理
にとって不必要である。
また、日米合同委員会の合意文書は、公表を前提として作成された文書では
なく、アメリカ合衆国政府の了解がなければ提出できない性質のものである。
本件文書も同様であり、右文書を送付嘱託に基づき提出することはできない。
なお、その内容の主な部分については、アメリカ合衆国政府の了解を得て官報
(昭和四七年六月一五日号外第八二号)により告示を行っており、これは既に
甲第三七号証として提出済みである。
二 申立書一2記載の文書について
被告のいう文書が、訴状別紙目録記載の各土地ごとに提供を取り決めた文書
を指すのであれば、そのような個々の土地ごとの協定書は存在していない。
また、訴状別紙目録記載の各土地を含む瀬名波通信施設ほか六施設の提供を
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取り決めた協定書は存在するが、これについては、昭和四七年五月一七日、防
衛施設庁長官が沖縄県知事に対し、「施設及び区域の提供等について(通知)」
と題する文書(同日付け施本第一四九九号)に右協定書の写しを添付して送付
しており、被告が既に所持しているから、送付嘱託の必要性はない(ただし、
審理の促進のために、次回期日において原告から右文書を甲第五六号証として
提出する予定である。)。
三 以上の次第で、本件送付嘱託の申立てはその必要性を欠き、また、その一部
は存在しない文書を対象とするものであるから、これを却下すべきである。
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