代理署名拒否訴訟 |
原告(国) |
訴 状 |
訴 状
〒一〇〇 東京都千代田区永田町一丁目六番一号
原 告 内 閣 総 理 大 臣
村 山 富 市
右指定代理人
〒一〇〇 東京都千代田区霞が関一丁目一番一号
法務省訴訟局
行政訴訟第一課長 川 勝 隆 之
局 付 松 谷 佳 樹
法 務 専 門 官 植 田 和 男
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行政訴訟第一課
主 任 田 村 厚 夫
〒八一〇 福岡市中央区舞鶴三丁目九番一五号
福岡法務局訴訟部
部 長 富 田 善 範
部 付 田 川 直 之
部 付 小 澤 正 義
訴 訟 官 崎 山 英 二
〒九〇〇 沖縄県那覇市樋川一丁目一五番一五号
那覇地方法務局訴訟部門
統括上席訴訟官 浦 田 重 男
上席訴訟官 原 田 勝 治
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上席訴訟官 安 里 國 基
訴 訟 官 久 場 景 一
法務事務官 屋 良 朝 郎
〒一〇七 東京都港区赤坂九丁目七番四五号
防衛施設庁
施 設 部 長 小 澤 毅
総 務 室 長 林 督
施設部
施設企画課長 地 引 良 幸
施設企画課
企 画 官 千 田 彰
訴 訟 室
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訟務専門官 内 山 孝
訟務専門官 西 村 和 敏
訟務専門官 里 吉 勝
調達協力第二係長 芦 田 栄 司
施設部
施設取得第一課長 小 竹 秀 雄
施設取得第一課
用地調整室長 世 利 隆 司
用地調整室長補佐 高 岡 辰 榮
用地専門官 大 石 毅
〒九〇〇 沖縄県那覇市久米一丁目五番一六号
那覇防衛施設局
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施 設 部 長 佐 伯 恵 通
総 務 部
訴 訟 官 新 城 弘 康
施設部施設企画課
訴訟専門官 古 波 一 男
訴訟専門官 宮 国 恵 守
事業部業務課
訴訟専門官 野 島 皓
施設部
施設企画課長 斉 藤 勝
施設取得第二課長 野 村 庄 一
施設取得第二課
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用地調整室長 運 天 常 隆
用地調整室長補佐 田 名 弘 明
〒九〇〇 沖縄県那覇市泉崎一丁目二番二号
被 告
沖 縄 県 知 事
大 田 昌 秀
地方自治法一五一条の二第三項の規定に基づく職務執行命令裁判請求事件
訴訟物の価格 算定不能(みなし訴訟物価格 金九五万円)
貼用印紙額 金八二〇〇円
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請 求 の 趣 旨
一 被告は、那覇防衛施設局長が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力
及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国
軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法一
四条一項により適用される土地収用法三六条の規定に基づき、別紙目録記載
の土地に係る土地調書及び物件調書を作成するにつき、左記により、同条五
項に基づいて立会人を指名し、署名捺印させよ。
記
1 立会及び署名押印の期限
被告がこの判決の正本の送達を受けた日の翌日から起算して三日以内
ただし、行政機関の休日に関する法律一条一項の規定による休日は、右
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の三日の期間から除く。
2 立会及び署名押印の時間
右期間内の毎日午前八時三〇分から午後五時まで
3 立会及び署名押印の場所
那覇防衛施設局
沖縄県那覇市久米一丁目五番一六号
二 訴訟費用は被告の負担とする
との判決を求める。
請 求 の 原 因
一 沖縄県の駐留軍用地の使用権原等
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1 国は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下
「日米安保条約」という。)及び日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力
及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国
軍隊の地位に関する協定(以下「地位協定」という。)に基づきアメリカ合
衆国軍隊に使用を許している沖縄県所在の施設及び区域の土地(以下「駐留
軍用地」という。)のうち別紙目録記載の土地(ただし、3記載の楚辺通信
所に係る土地を除く。)を含む土地二五三筆(面積約三七万一〇〇〇平方メ
ートル、所有者二九二六名)について、日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における
合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措
置法(以下「駐留軍用地特措法」という。)に基づいて使用権原を取得して
いるが、その使用期間は平成九年五月一四日に満了する(甲第一号証)。
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2 また、国は、別紙目録3記載の楚辺通信所に係る土地について、賃貸借契
約に基づいて使用権原を取得しているが、その存続期間は平成八年三月三一
日をもって満了する。そこで、国は、土地所有者に賃貸借契約の予約締結の
申込みをしたが、再三にわたる交渉にもかかわらず、予約締結の承諾が得ら
れなかった(甲第一号証)
3 しかし、右1及び2の各土地は、右各期間の満了後もなお引き続き駐留軍
用地として提供する必要があり、これらの土地を駐留軍の用に供することは
適正かつ合理的である。
二 沖縄県の駐留軍用地の使用の認定等
1 那覇防衛施設局長は、別紙目録記載の土地を含む土地二五四筆(面積約三
七万一〇〇〇平方メートル、所有者二九二七名)について、駐留軍用地特措
法四条一項の規定に基づき、平成七年四月六日及び同月一七日、土地の所有
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者及び関係人の意見書等を添付の上、使用認定申請書を防衛施設庁長官及び
防衛庁長官を通じ原告に提出した(甲第二号証ないし甲第八号証)。
2 原告は、平成七年五月九日、右の申請に係る土地の使用が駐留軍用地特措
法三条に規定する要件に該当すると認めて土地の使用の認定(以下「本件使
用認定」という。)をし、同法七条一項の規定に基づき那覇防衛施設局長に
その旨を通知(甲第九号証)するとともに、当該防衛施設局長の名称(那覇
防衛施設局長)、使用すべき土地の所在並びに同条二項の規定による土地の
調書及び図面の縦覧場所を同日付けの官報で告示した(甲第一〇号証)。
那覇防衛施設局長は、同日、同項の規定により、関係市長村内において当
該市町村に関係がある土地の調書及び図面を公衆の縦覧に供し、同月一〇日、
土地所有者及び関係人に対し、本件使用認定があった旨並びに使用しようと
する土地の所在、種類及び数量を通知した(甲第一一号証)。また、同局長
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は、同月一一日、同項の規定により、本件使用認定があった旨並びに使用し
ようとする土地の所在、種類及び数量を官報により公告した(甲第一二号
証)。
三 土地調書及び物件調書についての立会及び署名押印の拒否
1 那覇防衛施設局長は、本件使用認定の告示があった後、別紙目録記載の土
地を含む土地二五二筆(面積約三六万九〇〇〇平方メートル、所有者二九三
七名。本件使用認定後に賃貸借契約の予約締結を承諾した土地所有者がある
こと、共有者の持分の一部が移転されたこと等により、筆数、面積、所有者
数が変わったもの)について、駐留軍用地特措法一四条一項、土地収用法三
六条一項(以下、駐留軍用地特措法一四条一項により適用される土地収用法
の規定のみを掲げる。)による土地調書及び物件調書を作成した上、平成七
年五月一六日ころから六月中旬にかけて、本件使用認定に係る土地の所有者
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のうちの住居所不明者三名を除く二九三四名(別紙目録記載の土地の所有者
合計三五名を含む。)及び関係人一六名(別紙目録記載の土地の関係人合計
一〇名を含む。)に対し、文書により同条二項の規定に基づく立会及び署名
押印を求めた(甲第一号証、第一三号証)。
ところが、右立会及び署名押印を求めた土地所有者のうち一九五九名(別
紙目録記載の土地の所有者三五名のうち、立会及び署名押印をした一名を除
く三四名が含まれる。)は、右文書により指定した立会の日時及び場所に出
頭せず、うち七名は、出頭したものの署名押印を拒否した。また、関係人の
うち一二名(別紙目録記載の土地の関係人一〇名のうち、立会及び署名押印
をした三名を除く七名が含まれる。)は、右立会の日時及び場所に出頭しな
かった(甲第一号証)。
2 そこで、那覇防衛施設局長は、平成七年六月六日、伊江村長、恩納村長、
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読谷村長、沖縄市長、北谷町長、宜野湾市長、浦添市長及び那覇市長に対し、
同月二三日、嘉手納町長に対し、土地収用法三六条四項に基づいて市長村長
又は市町村の吏員の立会及び署名押印を求めたところ、六市長村長(伊江村
長、恩納村長、嘉手納町長、北谷町長、宜野湾市長及び浦添市長)はこの求
めに応じたが、読谷村長は別紙目録1ないし4記載の土地について、沖縄市
長は別紙目録5ないし7記載の土地について、那覇市長は別紙目録8記載の
土地について、いずれも右の立会及び署名押印を拒否した(甲第一号証、第
一四号証及び第一五号証)。
3 さらに、那覇防衛施設局長は、被告に対し、土地収用法三六条五項に基づ
き、平成七年八月二一日到達の「立会要請について」と題する文書により、
立会の日時を「平成七年八月二八日午前一〇時から午後四時まで」、立会場
所を「那覇防衛施設局」と定めて、別紙目録記載の土地に係る土地調書及び
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物件調書を作成するにつき、沖縄県の吏員のうちから立会人を指名し、署名
押印させることを申請した(甲第一六号証。なお、右署名押印等の日時及び
場所の指定の方法は、これまでの駐留軍用地特措法に基づく使用権原の取得
の手続において実施されてきた例に準拠したものである。)。
しかるに、被告は、右申請に係る立会人の指名及び署名押印に応じず、同
年一〇月二日到達の「立会要請について(回答)」と題する文書により、沖
縄県吏員の立会及び署名押印には応じられない旨の回答をした(甲第一七号
証)。
四 地方自治法一五一条の二第一項の勧告
1 都道府県知事の右立会人の指名及び署名押印は、土地収用法三六条五項の
規定により都道府県知事に義務付けられた事務であり、かつ、この事務は国
の機関委任事務である(地方自治法一四八条二項、別表第三、一、(三の
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四)、(一〇八)参照)。
そして、右事務は、総理府(防衛庁、防衛施設庁)が所掌する(防衛庁設
置法五条二五号、四二条、国家行政組織法三条三項、四項、四条、別表第一、
備考)が、総理府の長は原告である(国家行政組織法五条一項)
2 被告が右三3のとおり立会人の指名及び署名押印を拒否したことは、地方
自治法一五一条の二第一項にいう「国の事務の管理もしくは執行が法令の規
定・・・に違反する」場合又は「国の事務の管理もしくは執行を怠る」場合
に該当する。
3 また、都道府県知事が右の立会人の指名及び署名押印を拒否した場合、他
の機関が直ちにこれを代行できる旨の法令の規定はない。
確かに地方自治法一五一条の二第一項から第八項までに規定する措置以外
の是正方法として、主務大臣(内閣総理大臣)の指揮監督(同法一五〇条)
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と内閣総理大臣の措置要求(同法二六四条の二)とが考えられる。しかし、
被告の立会人の指名及び署名押印の拒否の意志は固く、平成七年一一月四日
に行われた原告と被告との直接の会談でも被告の拒否の姿勢に変更はなかっ
た(甲第一号証)から、被告がこれに従う見込みはない。
したがって、被告の法令違反ないし職務懈怠は、同法一五一条の二第一項
から「第八項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが
困難」である。
4 さらに、土地調書は裁決申請書(権利取得裁決の申請書)の添付書類であ
り(土地収用法四〇条一項三号)、物件調書は明渡裁決の申立ての際の提出
書類である(土地収用法四七条の三第一項二号)から、土地調書及び物件調
書について被告による立会人の指名及び署名押印がされないと、那覇防衛施
設局長は、土地調書及び物件調書を作成することができず、土地収用法三九
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条一項に基づく使用の裁決(権利取得裁決・明渡裁決)の申請を適式にする
ことができなくなり、その結果、国は、別紙目録記載の土地の使用権原を取
得することが出来なくなる。
しかし、別紙目録記載の土地は、いずれも我が国が日米安保条約及び地位
協定上の義務を履行するために、合衆国軍隊に対し、その施設及び区域とし
て沖縄の本土復帰後二〇年以上も継続的に提供してきた土地であり、かつ、
今後も引き続き提供する必要がある土地である。
したがって、被告の法令違反ないし職務懈怠を「放置することにより著し
く公益を害することが明らか」である。
5 原告は、主務大臣として、被告に対し、平成七年一一月二三日到達の書面
により、右立会人の指名及び署名押印の拒否が右2ないし4記載のとおり地
方自治法一五一条の二第一項の要件に該当する旨を指摘し、かつ、立会及び
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署名押印の期限を「本書面到着の日の翌日から起算して三日以内(ただし、
行政機関の休日に関する法律一条一項の規定による休日を除く。)」、立会
及び署名押印の時間を「毎日午前八時三〇分から午後五時まで」、立会及び
署名押印の場所を「那覇防衛施設局 沖縄県那覇市久米一丁目五番一六号」
と定めて、土地収用法三六条五項に基づき立会人を指名し、署名押印をさせ
るべきことを勧告した(甲第一八号証)。
被告は、右勧告の期限までに勧告に係る事項を行わなかった(甲第一九号
証、第二〇号証)。
五 地方自治法一五一条の二第二項の命令
原告は、地方自治法一五一条の二第二項に基づき、被告に対し、平成七年一
一月三〇日到達の書面により、立会及び署名押印の期限を「本書面到着の日の
翌日から起算して三日以内(ただし、行政機関の休日に関する法律一条一項の
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規定による休日を除く。)」、立会及び署名押印の時間を「毎日午前八時三〇
分から午後五時まで」、立会及び署名押印の場所を「那覇防衛施設局 沖縄県
那覇市久米一丁目五番一六号」と定めて、土地収用法三六条五項に基づき立会
人を指名し、署名押印をさせるべきことを命令した(甲第二一号証)。
被告は、右命令に係る期限を経過したが、未だ土地収用法三六条五項に基づ
き立会人を指名し、署名押印をさせない(甲第二二号証)。
六 結論
よって、原告は、地方自治法一五一条の二第三項に基づき、被告が請求の趣
旨記載の事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求する。
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証 拠 方 法
甲第 一号証 那覇防衛施設局長の陳述書
甲第 二号証 使用認定申請書及び添付書類(瀬名波通信施設)
甲第 三号証 使用認定申請書及び添付書類(嘉手納弾薬庫地区)
甲第 四号証 使用認定申請書及び添付書類(楚辺通信所)
甲第 五号証 使用認定申請書及び添付書類(キャンプ・シールズ)
甲第 六号証 使用認定申請書及び添付書類(トリイ通信施設)
甲第 七号証 使用認定申請書及び添付書類(嘉手納飛行場)
甲第 八号証 使用認定申請書及び添付書類(那覇港湾施設)
甲第 九号証 使用認定通知書及び使用認定書
甲第一〇号証 使用認定の告示(平成七年五月九日官報第一六三九号)
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甲第一一号証 土地所有者及び関係人への使用認定の通知
甲第一二号証 使用認定の公告(平成七年五月一一日官報号外第八六号)
甲第一三号証 立会要請について(土地所有者等への土地調書及び物件調書
作成のための立会等要請文書)
甲第一四号証 立会要請について(那覇市長等への土地調書及び物件調書作
成のための立会等要請文書)
甲第一五号証 那覇市長からの立会要請についての回答(那総平第三九一〇
号)
甲第一六号証 立会要請について(被告への土地調書及び物件調書作成のた
めの立会等要請文書)
甲第一七号証 立会要請について(回答)(総基第四〇〇号)
甲第一八号証 土地調書及び物件調書の作成のための立会人の指名及びその
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者による署名押印の事務について(勧告)(総施第一一四号)
甲第一九号証 土地調書及び物件調書の作成のための立会人の指名及びその
者による署名押印の事務について(回答)(総基第五三七号)
甲第二〇号証 土地調書及び物件調書の作成のための立会人の指名及びその
者による署名押印の事務について(通知)(施那第三四六七
号)
甲第二一号証 土地調書及び物件調書の作成のための立会人の指名及びその
者による署名押印の事務について(命令)(総施第一一六号)
甲第二二号証 土地調書及び物件調書の作成のための立会人の指名及びその
者による署名押印の事務について(通知)(施那第三五三一
号)
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添 付 書 類
一 指定書 六通
二 甲号証の謄本 各一通
平成七年一二月七日
原告指定代理人
川 勝 隆 之
松 谷 佳 樹
植 田 和 男
田 村 厚 夫
富 田 善 範
田 川 直 之
小 澤 正 義
崎 山 英 二
浦 田 重 男
原 田 勝 治
安 里 國 基
久 場 景 一
屋 良 朝 郎
小 澤 毅
林 督
地 引 良 幸
千 田 彰
内 山 孝
西 村 和 敏
里 吉 勝
芦 田 栄 司
小 竹 秀 雄
世 利 隆 司
高 岡 辰 榮
大 石 毅
佐 伯 惠 通
新 城 弘 康
古 波 恵 守
野 島 皓
斉 藤 勝
野 村 庄 一
運 天 常 隆
田 名 弘 明
福岡高等裁判所那覇支部 御中
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